ダウ平均は反発 ファースト・リパブリックへの支援の報道で買戻し=米国株前半
NY株式16日(NY時間12:48)
ダウ平均 32102.52(+227.95 +0.72%)
ナスダック 11651.27(+217.22 +1.90%)
CME日経平均先物 26910(大証終比:+170 +0.63%)
きょうのNY株式市場でダウ平均は反発。序盤は売りが先行し、ダウ平均も一時300ドル超下落する場面が見られた。ただ、その後はIT・ハイテク株中心に買い戻しが広がり、ダウ平均もプラス圏に浮上している。
きっかけはファースト・リパブリック<FRC>。JPモルガン<JPM>、モルガン・スタンレー<MS>などの大手銀が同銀の救済のために資本注入を含む取引の可能性について議論していると伝わった。完全な身売りの選択肢も含まれているが、それについては現時点では可能性は低いという。ただ、合意に至れば、今後数日でまとまる可能性があるとも伝えた。米政府が調整しているとのニュースも流れている。
それでも同銀株はまだプラス圏には浮上できずに大幅安で推移している。資本増強となれば、希薄化や上場廃止など既存株主の犠牲も想定され、手放す動きも出ているのかもしれない。
前日はクレディスイスの信用不安が高まり、市場も乱高下したものの、スイス当局が具体的な支援方針を打ち出したことから、この問題に対しては安心感がひとまず広がっている。スイス中銀はクレディスイスに対して500億スイスフランの流動性を提供すると発表した。
しかし、株式市場は依然として慎重。クレディスイスの問題はひとまず沈静化に向かっているようだが、他にもあるのではとの不安が根強いことと、今回の問題による金融システムへの信頼感の低下が、この先の景気にどのように影響するのかを見極めたい雰囲気もあるようだ。そのため投資家のリスク許容度は回復していない。
また、今回の件でFRBがどう対応するのかも確認したい意向もあるようだ。この日はECB理事会が行われ、市場の予想に反して、コミット通りに0.50%ポイントの大幅利上げを実施した。ただ、今回は先行きについてのヒントは出さなかった。利上げを見送る、もしくは小幅に縮小すれば、金融システムの問題が存在することを認めた形となることを避けたかったのかもしれない。FRBも来週にFOMCを控えているが、据え置きの期待も一部にはあるものの、市場では0.25%ポイントの利上げを実施してくると見られているようだ。
金融システムへの警戒感は根強い。「2008年のリーマンショックに似ている点は、次に最も弱い者は誰なのかと、市場が弱い者探しをしている点だ。その代償として無保険の預金にスコープが向けられている」との声も出ている。また、「銀行セクターに属する金融機関への投資可能性をどう見るかについて、方向性が変わって来ているのは間違いない。将来、これらの企業に対する規制の圧力が強まった場合、このセクターがどのような舵取りをするのか考えさせられる」との指摘も聞かれた。
きょうはメタ・プラットフォームズ<META>やスナップ<SNAP>などのSNS企業が堅調。バイデン政権がTiktokを保有する中国のバイトダンス社に対して株式売却を強く要求していると伝わった。売却しなければ、米国内での同アプリの使用を禁止する可能性があるという。
アドビ<ADBE>が決算を受け上昇。クリエイティブ・ソフトウェアに対する需要が引き続き堅調であることを示した。
ファースト・リパブリック<FRC> 26.91(-4.25 -13.64%)
アドビ<ADBE> 351.86(+18.25 +5.47%)
アップル<AAPL> 154.86(+1.87 +1.22%)
マイクロソフト<MSFT> 275.52(+10.08 +3.80%)
アマゾン<AMZN> 100.14(+3.94 +4.10%)
アルファベットC<GOOG> 100.45(+3.90 +4.03%)
テスラ<TSLA> 184.30(+3.85 +2.14%)
メタ・プラットフォームズ<META> 201.27(+3.52 +1.78%)
AMD<AMD> 96.07(+6.39 +7.13%)
エヌビディア<NVDA> 253.06(+10.78 +4.45%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美