売り一巡後の底堅さを見極めつつ、押し目狙いのスタンスに/オープニングコメント
5日の日本株市場は、やや利食い優勢の相場展開が見込まれる。4日の米国市場はNYダウが198ドル安だった。2月のJOLT求人件数が予想を下回り、2021年5月来で最低となったため、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測の後退と同時に、米景気後退懸念が強まり、売りが広がった。また、JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)が株主宛て年次書簡で、金融危機は進行中として影響が長期化する可能性を警告したことも売りに向かわせた。シカゴ日経225先物は大阪比170円安の28090円。円相場は1ドル131円60銭台で推移している。
シカゴ先物にサヤ寄せする格好から売りが先行する格好となるものの、日経225先物はナイトセッションで28000円を割り込まなかったことから、同水準での底堅さは意識されそうだ。また、日経平均は足もとのリバウンドでボリンジャーバンドの+1σを上回ってきた。+1σは28180円辺りに位置しているため、同水準での底堅さをみせてくるようだと、押し目狙いのスタンスに向かわせそうだ。
一方で、米国では足もとで弱い経済指標の発表が続いており、FRBによる利上げ停止観測に向かわせる一方で、米景気後退懸念が再燃している。ただし、NYダウは直近で1200ドル程度上昇していたこともあり、利益確定の売りが出やすいところでもあるだろう。VIX指数は20を下回った水準で推移していることからリスク回避には向かわせない。日経平均は足もとで3営業日続伸だが、先物では8営業日続伸で短期的な過熱感は警戒されており、調整については想定内といったところである。
物色としてはメガバンクのリバウンドの持続性とハイテク株の買い戻しの動きを睨みながら、材料株に短期資金はシフトとなるほか、直近IPO銘柄などでの短期的な値幅取り狙いの動きが中心になりそうだ。特に日経平均が28000円近辺でのこう着を強めてくるようだと、より材料株への物色に向かいやすいだろう。
また、調整が意識されるものの、金融システム不安が和らぐなか、日経平均は3月の急落前水準を回復していないこともあり、出遅れ感が意識されている。銀行の戻りの鈍さからショートカバーも強まっていないため、ポジションとしてはショートに傾いている状況と考えられる。そのため、売り一巡後の底堅さを見極めつつ、押し目狙いのスタンスに向かわせそうだ。
《AK》