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話題のコスモHDには昨夏から注目、20代で専業転身の支えに「星新一」好き

特集
2023年4月14日 10時55分

目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技 ゆうとさんの場合-最終回

文・イラスト/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

登場する銘柄
コスモHD<5021>、エスクリ<2196>

【タイトル】■ゆうとさん(ハンドルネーム・20代・男性)のプロフィール:
大学生のころから投資を始め、投資歴10年になる20代後半の若手投資家。40万円の元手に追加資金を加えた運用資産を10倍程度まで膨らませた実力から、交流するすご腕投資家たちからも「ネクスト億り人」として期待がかけられている。投資スタイルは、カタリストのあるバリュー株への投資。増配など株主還元策の強化による株価上昇を狙う。「起きている時間のほとんどは投資のことで頭がいっぱい」という自称株オタクで、会社員になるも投資に専念するため、数年前に専業投資家に転身している。

第1回「狙うは「物言う株主×PBR1倍割れ」で、"資産テンバガー"の技」を読む

第2回「TOBには続きがある」との気づきが、運用成績を引き上げる」を読む

第3回「崖っぷち状態のプライム30銘柄で、市場平均に大勝ち」を読む

ゆうとさん(ハンドルネーム)が、最近有望視しているのが、石油元売り大手のコスモエネルギーホールディングス<5021>だ。同社については、最近話題のPBR1倍割れ企業であることもあって日本経済新聞などでも取り上げられる機会が増えている。

そんな同社株にゆうとさんが注目したのは、昨年の夏ごろからだ。物言う株主の村上世彰氏がかかわるシティインデックスイレブン(以下、シティインデックス)がコスモHD株に対して複数回の変更報告書を提出し、保有割合が10%を超えて買い増しのペースが早まったと感じたことをきっかけに監視対象銘柄に組み入れた。

今は、カタリストの期待できる銘柄にいち早く注目して成果を上げているゆうとさんだが、この投資スタイルを確立するまでには、実に5年以上もの歳月がかかっている。

デイトレードから始め、その後は優待先回りに東証1部昇格のイベント狙い、さらに割安成長株狙いになったと思ったらバリュー株に注目するネットネット株と、様々な投資法を試しては乗り換えを繰り返してきた。

その過程では、資産の4分の1を吹き飛ばすヤラレを食らったり、待てど暮らせど株価が動意づかないことにイライラしたりと、しっくりこない状態が続いた。そんな"放浪生活"を経て、ようやくたどり着いたのが、アクティビスト・カタリストに注目するスタイルだった。

気の合うパートナーと出会えたのは、「ど文系で数学的な分析は苦手」「世の中の流行にまったく関心がない」―― という自分の特性と向き合えたからだ。無理な背伸びをすることなく、自然体でいられる状態を認識できたことがある。

ゆうとさんが自分に合った勝ち技にたどり着いた変遷を見ていこう。

コスモHDは物言う株主の圧力で、第2の西松建<1820>になると期待

まず、ゆうとさんが今の勝ち技をものにしていく歩みを見ていく前に、冒頭のコスモHD<5021>に注目している理由を手短に紹介しよう。

現在、ゆうとさんのポートフォリオで、同社株が占める割合は5割以上にのぼる。昨今、注目を高めている東証プライム上場の「PBR1倍割れ」銘柄のコスモHDは、今年3月に発表した中期経営計画で、総還元性向を50%から60%に引き上げ、新たに1株200円を下限配当に定める株主還元の強化を発表している。

こうした動きが出てくることを、事前に予測していたゆうとさんは、22年12月からコスモHDに買い出動する。注目したポイントは、冒頭で触れたように村上氏系のシティインデックスが買い増しを進めてきたこと。さらに、足元では、シティインデックスの投資先では最もウエートが高い対象となっていたことだ。

コスモHDは買収防衛策を導入する可能性があり、さらに、発表予定の中計では、株主還元に踏み込んだ内容となると読み、以降もゆうとさんは買い増しを進めていく。結果、この予想通りのシナリオとなった。

今後、注目するのは6月の株主総会に向けての動きだ。シティインデックスからの圧力が強まることで、さらなる株主還元策の発表や自社株TOBも打ち出されるとの期待感を持ち、新たな開示情報に目を光らせているところだ。

■コスモHDの日足チャート(21年12月~)

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

「エスクリ」&「かぶ1000さんになれないショック」が強くする

コスモHDの例でも示したような勝ち技を確立するまでには、2度の大きなショックがゆうとさんを襲っている。1度目は投資した銘柄名から取った「エスクリ・ショック」、2度目は著名投資家である「かぶ1000さん(ハンドルネーム)になれないショック 」―― になる。

「こんな激しいボラティリティ(株価の変動率)はもうこりごり」。こう思い知らされたのが、1度目のエスクリ・ショックだ。それまでなんとなく続けていた成長株を意識した投資法から、本格的にバリュー投資に目を向けるきっかけとなった出来事だ。

エスクリ<2196>は、都市部中心にホテルやゲストハウスを運営し、ブライダル中心にサービス展開する企業。2010年3月に、当時の東証マザーズ市場にIPO(新規株式公開)した成長株の一角だった。

投資を本格的にスタートさせて約3年が経過していた16年2月、同銘柄に投資していたゆうとさんは、株価が突如、急落するショックをもろに食らうこととなる。

■『株探』プレミアムで確認できるエスクリの日足チャートと決算日(15年11月~17年10月)

【タイトル】

下方修正で連続ストップ安

ショックの火付け役となったのは、16年2月12日発表の16年3月期第3四半期決算で公表された大規模な減益決算と、予想数字の大幅下方修正だ。

同時に減配予想も報じられ、これを嫌気して、それ以前は株価800円処を下限としてボックス圏で推移していた同社株は、2営業日連続のストップ安に。一気に、約30%減となる500円台にまで転がり落ちてしまった。

■『株探』で報じられたエスクリのストップ安のニュース(16年2月15日配信)

【タイトル】

この銘柄に集中投資していたゆうとさんも、資産の25%を吹き飛ばす大ヤラレを食らう。下方修正や減配は、想定外のサプライズで、かなりの精神的ダメージを被る。「ボラの高い投資法は、メンタルへの負荷が大き過ぎ、自分には合わない」と強く感じるようになった。

このイタい経験後に注目し始めたのが、下値リスクを抑えられるバリュー株だ。この頃、バリュー株投資を行う個人投資家として有名なかぶ1000さんの行う「ネットネット株投資」を知ることになり、「自分がやりたかったのは、この手法だ」と早速、このやり方に転向することとした。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ ネットネット株投資をものにできなかったワケ

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