ジョンソン&ジョンソンの下げ続く 肺がん治療薬の最新情報を明らかにできず=米国株個別
ジョンソン&ジョンソン(J&J)<JNJ>が取引開始前に1-3月期決算(第1四半期)を発表し、1株利益が予想を上回ったほか、売上高も予想を上回った。通期ガイダンスも公表し、売上高、1株利益とも見通しを上方修正している。
事業分割を計画しているコンシューマーヘルス部門の力強い成長が寄与したほか、視界から消えつつあるワクチンの成長も寄与した。コンシューマーヘルス部門は最も成長率の高い部門となっており、同社は、市販の鎮痛剤であるタイレノールとモトリンに対する需要が旺盛だったと説明している。
投資家は最大の事業である医薬品が成長するかどうかを注視している。第1四半期の医薬品売上高は134億ドルと予想(127億ドル)を上回った。
株価は決算発表直後に時間外では上昇していたものの、次第に売りが広がっている。午後になってもマイナス圏での推移が続いており、ダウ平均を圧迫。同社はワクチンの今後の見通しは不透明としたほか、コンシューマーヘルス部門も分割される。主力の医薬品部門も特許切れの製品の売上高によって数字が押し上げられていたが、競合他社がM&Aを活発化させる中、新たな成長手段を見出すことで経営陣にプレッシャーがかかっている。
また、決算説明会で市場が注視してきた肺がん治療薬の研究の最新情報を明らかにできなかった点もネガティブな点として捉えられている模様。転移性非小細胞肺がん患者を対象とした、同社の「ライブルバント」と別の薬剤である「ラザルチニブ」との併用療法の結果が、医師が患者を競合他社製品からJ&Jの製品に変更するのに十分な説得力を持つかどうかという疑問を投げかけている。
数字は良好だったものの、気掛かりな点も表明化した決算と見ているようだ。
(1-3月・第1四半期)
・1株利益(調整後):2.68ドル(予想:2.52ドル)
・売上高:247.5億ドル(予想:236.5億ドル)
医薬品:134.1億ドル(予想:127.0億ドル)
イムブルビカ:8.27億ドル(予想:8.73億ドル)
レミケード:4.87億ドル(予想:4.65億ドル)
ステラーラ:24.4億ドル(予想:23.9億ドル)
ザイティガ:2.45億ドル(予想:2.48億ドル)
イグザレルト:5.78億ドル(予想:5.50億ドル)
シンポニー:5.37億ドル(予想:5.55億ドル)
・研究開発費:35.6億ドル(予想:36.0億ドル)
(通期見通し)
・1株利益(調整後):10.60~10.70ドル(従来:10.45~10.65億ドル)(予想:10.52ドル)
・売上高:989~989億ドル(従来:969~979億ドル)(予想:977億ドル)
(NY時間15:36)
ジョンソン&ジョンソン<JNJ> 161.37(-4.30 -2.59%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美