前場に注目すべき3つのポイント~やや利食い優勢ながら底堅い相場展開、金融セクターの買い戻しは継続~
20日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
■株式見通し:やや利食い優勢ながら底堅い相場展開、金融セクターの買い戻しは継続
■日ゼオン、23/3下方修正 営業利益 270億円←280億円
■前場の注目材料:日本製紙、「繊維幅自在セルロース」専用機開発、顧客がオンサイトで生産
■やや利食い優勢ながら底堅い相場展開、金融セクターの買い戻しは継続
20日の日本株市場は、やや利食い優勢ながら底堅い相場展開になりそうだ。19日の米国市場はNYダウが79ドル安だった半面、ナスダックは小幅に上昇した。3月の英消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、金利上昇を警戒した売りが先行した。預金の流出が警戒されていた地銀のウエスタン・アライアンスの決算が予想を上回ったことが材料視されたが、年内の利下げ観測が弱まり戻りも鈍く、終日軟調推移だった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比30円安の28550円。円相場は1ドル134円60銭台で推移している。
シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、やや利食い優勢の相場展開が見込まれる。日経225先物は一時28400円まで下げる場面が見られたものの、ボリンジャーバンドの+1σが支持線として意識される格好から、下げ渋る動きとなった。英CPIを受けた欧米の金融引き締め継続といった見方は重荷となろうが、ウエスタン・アライアンスの大幅上昇のほか、モルガンスタンレーも売り先行後はプラス圏を回復。さらに前日に予想を下回る決算が嫌気されたゴールドマン・サックスも反発するなど、米国市場は落ち着いた動きである。そのため、売り圧力が強まるといった流れにはならないだろう。VIX指数は低下傾向を継続していることからリスク選好の流れは継続している。
取引終了後に決算を発表したテスラが時間外で下落していることが重荷となろうが、本格化する決算発表のなかで仕掛け的な動きも入りづらく、日経平均は28500円辺りでの底堅さが意識されそうであり、押し目待ちの買い意欲は依然として強そうだ。また、米国ではアップルやアマゾンなど大型テック株の一角も買われており、下支えにつながりそうである。物色の流れとしては、ウエスタン・アライアンスの大幅上昇など金融セクターを買い戻す動きは継続するとみておきたい。
全体としては利食い優勢の展開が意識されるものの、底堅さがみられるなかでは、バリュエーション面での割安感がある銘柄やセクターへ資金が向かいやすいだろう。また、日経平均はこう着ながらも底堅さが意識されるなか、個人主体の資金は直近IPO銘柄やテーマ性のある材料株にシフトしやすい。ただし、IPO銘柄については一部の銘柄に資金が集中しやすいことから、流動性が高い銘柄での短期的な値幅取り狙いに向かわせそうだ。
■日ゼオン、23/3下方修正 営業利益 270億円←280億円
日ゼオン<4205>は2023年3月期業績予想の修正を発表。売上高は3870億円から3880億円と増加する見込み。利益面では営業利益を280億円から270億円に下方修正した。徳山工場の生産設備等に関して、収益性の低下に伴い投資額の回収が見込めないため、帳簿価額を回収可能額まで減額し、減損損失を特別損失に計上する。
■前場の注目材料
・ナスダック総合指数は上昇(12157.23、+3.81)
・1ドル=134.60-70円
・VIX指数は低下(16.46、-0.37)
・米国景気は拡大
・日銀は金融緩和を継続
・コロナ後の人流再開
・日本製紙<3863>「繊維幅自在セルロース」専用機開発、顧客がオンサイトで生産
・三井化学<4183>再生材利用のプラ材料、米完成車2社に供給
・J・TEC<7774>帝人とライセンス契約、再生医療受託で非独占的使用権を許諾
・伊藤忠<8001>東アジアで服飾拡大、香港PPWと提携
・ユビテック<6662>運転管理に新機能、酒気の有無確認でエンジン解除
・住友ゴム工業<5110>ボイラの燃料を水素に、福島・白河工場で設備稼働
・アルテック<9972>トルコ社と代理店契約、電気バス国内投入
・アンリツ<6754>デンマーク・オールボー大と6G共同研究
☆前場のイベントスケジュール
<国内>
・日銀支店長会議
・08:50 3月貿易収支(予想:-1兆2948億円、2月:-8981億円)
<海外>
・07:45 NZ・1-3月期消費者物価指数(前年比予想:+6.9%、10-12月期:+7.2%)
・10:15 中・1年物ローンプライムレート(LPR)(現行3.65%)
《ST》