脱コロナで業績回復へ、24年2月期【経常増益】リスト〔第1弾〕 ＜成長株特集＞
小売業をはじめ内需関連が多くを占める2月期決算企業の本決算発表が出そろった。本特集では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて大きく落ち込んだ業績の回復が進むなか、24年2月期に経常利益が増益を見込む企業にスポットライトを当てた。
「株探」集計によると、24年2月期の経常利益予想を開示した193社のうち、同利益が前期比で増益もしくは黒字転換を計画する企業は140社と全体の7割以上に上った。行動制限の緩和やインバウンド需要の復調などを背景にコロナ禍からの業績回復が顕著で、今期業績予想が新型コロナ流行前の水準を上回る見通しを示す企業も目立つ。
今回は第1弾として、時価総額800億円以上の銘柄を対象に、24年2月期に経常利益が増益見通しを示している35社を選び出し、増益率が大きい順に記した。「★」は今期に過去最高益を見込む企業。
増益率トップとなったのは、コーヒー店やレストランなどをチェーン展開するドトール・日レスホールディングス <3087> [東証Ｐ]。24年2月期の経常利益は前期比2.1倍の74.4億円に急拡大する見通しだ。新型コロナ感染拡大の影響が和らぐなか客足が回復し、既存店売上高はドトールコーヒーが前期比9％増、日レスは同18％増を見込む。また、新規出店はグループ全体で約100店舗(退店は35店舗)を計画する。併せて、今期配当を前期比2円増の32円に増配する方針を示したことも好感され、株価は約3年3ヵ月ぶりの高値圏に急浮上している。
2位のＪ．フロント リテイリング <3086> [東証Ｐ]は主力の百貨店事業で富裕層による好調な消費が継続するうえ、本格的な人流の回復や企業の高水準な賃上げ実施を背景に中間層向けも改善が続く。水際対策の緩和によるインバウンド消費の回復も追い風になる。また、ショッピングセンター事業も収益が拡大し、今期税引き前利益は前期比2.1倍の360億円に膨らむ計画だ。株価は連日で年初来高値を更新している。
続く3位に入ったティーケーピー <3479> [東証Ｇ]の今期経常利益は前期比63.3％増の50億円と4期ぶりの最高益更新を狙う。日本リージャスを売却した反動などで大幅な減収となるものの、経済活動の再開を追い風に主力とする貸会議室の需要が回復し稼働率が上昇するほか、ホテルを運営する宿泊事業も伸びる。併せて、26年2月期に経常利益91億円を目指す中期経営計画を発表している。
選出リストは、首位のドトル日レスを筆頭に小売業が多くを占めた。外食チェーンを展開するクリエイト・レストランツ・ホールディングス <3387> [東証Ｐ]やハイデイ日高 <7611> [東証Ｐ]、衣料品販売の西松屋チェーン <7545> [東証Ｐ]やアダストリア <2685> [東証Ｐ]のほか、食品スーパー大手のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス <3222> [東証Ｓ]、ドラッグストアを展開するスギホールディングス <7649> [東証Ｐ]、ホームセンター運営のＤＣＭホールディングス <3050> [東証Ｐ]など幅広い分野の銘柄が入った。
製造業では、竹内製作所 <6432> [東証Ｐ]と安川電機 <6506> [東証Ｐ]がリスト入りを果たした。15位の竹内製作所は欧米でミニショベルやクローラーローダーの旺盛な引き合いが続くことに加え、海上運賃の減少や値上げ効果も寄与し、経常利益は前期比11.8％増の239億円と3期連続の最高益更新を目指す。配当は創業60周年記念配当を含めて前期比17円増の115円と大幅増配する方針だ。好決算を受けて株価は急騰し、上場来高値圏を快走する展開となっている。
一方、25位にリスト入りした安川電機の今期業績は税引き前利益が727億円(前期比2.2％増)と4期連続の最高益更新を見込む。電気自動車(EV)やリチウムイオン電池関連をはじめ、製造業での自動化・省力化に向けた設備投資が継続するなか、受注残の確実な消化によって増益を確保する計画だ。
┌─── 経常利益 ───┐ 予想
コード 銘柄名 増益率 24年2月期 23年2月期 PER
<3087> ドトル日レス 115 7445 3466 17.6
<3086> Ｊフロント 113 36000 16873 14.6 *
<3479> ＴＫＰ 63.3 5000 3062 17.7 ★
<3222> ＵＳＭＨ 42.3 9300 6536 71.6
<8905> イオンモール 34.6 49000 36409 15.2
<3387> クリレスＨＤ 31.4 6000 4565 49.6 *
<9716> 乃村工芸社 27.8 4150 3246 36.3
<2379> ディップ 21.6 14100 11599 19.7
<7545> 西松屋チェ 20.8 14000 11588 10.6 ★
<7611> ハイデ日高 19.4 2950 2470 46.9
<6532> ベイカレント 18.5 35400 29875 29.5 ★ *
<8244> 近鉄百 18.3 2300 1945 65.3
<2685> アダストリア 16.4 14000 12026 12.4
<7630> 壱番屋 12.3 4540 4042 59.1
<6432> 竹内製作所 11.8 23900 21379 10.0 ★
<3543> コメダ 8.1 8650 8001 20.5 ★ *
<7649> スギＨＤ 6.5 34500 32391 17.6
<2726> パルＨＤ 4.1 16720 16061 14.0 ★
<2659> サンエー 3.9 12000 11554 17.9
<2670> ＡＢＣマート 3.6 44900 43360 21.4
<3050> ＤＣＭ 3.5 30600 29555 10.6 ★
<7512> イオン北海道 3.5 8800 8501 24.1
<8267> イオン 3.1 210000 203665 93.0
<8194> ライフコーポ 2.4 20500 20015 9.9
<6506> 安川電 2.2 72700 71134 28.0 ★ *
<8227> しまむら 2.1 55522 54383 11.8 ★
<8198> ＭＶ東海 2.1 10500 10285 15.3
<7599> ＩＤＯＭ 2.0 18500 18146 6.6 ★
<9601> 松竹 1.5 1380 1359 164
<8233> 高島屋 1.4 35000 34520 14.2
<9793> ダイセキ 1.1 13200 13060 21.5 ★
<8278> フジ 1.1 13500 13359 29.9 ★
<3382> セブン＆アイ 0.9 480000 475887 18.6 ★
<7516> コーナン 0.8 20900 20732 8.1
<3141> ウエルシア 0.7 52500 52149 21.0 ★
※経常利益の単位は百万円。2022年1月以降に上場した企業は除いた。
※過去最高益は同一会計基準内が対象。「*」は国際会計基準を採用する銘柄。
株探ニュース