米運輸株の下落は経済弱体化の予兆

市況
2023年4月20日 22時21分

米株式市場では米運輸株のパフォーマンスが冴えない。運輸株は景気敏感株の位置づけもあり、潜在的な景気後退に対する投資家の懸念の高まりを反映しているとも言われる。航空、鉄道、トラック輸送など米大手20社を対象にしたダウ・ジョーンズ運輸株平均は、2月初旬以来、ダウ平均をアンダーパフォームしている。商品、資材、旅行への需要が鈍化する景気後退期には、より早く売られることも多い。

市場からは、投資家は米運輸業界に否定的な見方をしているが、最終的にはその正しさが証明されると思うといった声も聞かれる。3月の米トラック貨物輸送量は、パンデミック開始以来最も減少し、貨物が不況に陥っていることを明確に示している。

米景気後退への懸念は最近になってさらに強まっている。先月のSVBの破綻や地銀へのストレスの高まりは、銀行の融資に対する潜在的なひずみや、企業の雇用意欲、家計の消費意欲に対する不安を駆り立てた。一方で高インフレの粘着性への懸念が想定以上に根強く残っており、足元ではFRBが市場の想定以上に利上げを行うのではとの見方が広がっている。

月曜日の引け後にトラック輸送大手のJBハント<JBHT>が1-3月期(第1四半期)の決算を発表していた。決算発表後の株価はまちまちといった反応だったが、決算自体は需要低迷に直面していることを示唆していた。シンプソンCEOは「われわれは厳しい運賃環境にあり、インフレのコスト圧力に直面し続けている一方で、運賃にはデフレ圧力がある。簡単に言えば、われわれは貨物不況に陥っている」と述べていた。

投資家やアナリストの中には、景気後退が間近に迫っているという考え方に異を唱える人もいる。労働市場と個人消費が底堅さを保ってきたことが大きな背景と考えられる。ただ、少なくとも最近の運輸株の下落はそれを物語ってはいない。

参照銘柄

エクスペディターズ<EXPD>

ハブ<HUBG>

JBハント<JBHT>

ランドスター<LSTR>

ライダー・システム<R>

参考:ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.