前場に注目すべき3つのポイント~米CPIの発表を控え全般こう着も、決算を手掛かりとした物色は活発~
10日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
■米CPIの発表を控え全般こう着も、決算を手掛かりとした物色は活発
■任天堂、23/3営業利益 14.9%減 5043億円、24/3予想 10.8%減 4500億円
■前場の注目材料:大同メタル、風力向け参入、60億円投じチェコに軸受の新工場
■米CPIの発表を控え全般こう着も、決算を手掛かりとした物色は活発
10日の日本株市場は、やや売り優勢となるものの、底堅さが意識されそうだ。9日の米国市場はNYダウが56ドル安だった。地銀株が一時大きく売られたが、NY連銀のウィリアムズ総裁が講演で、利上げ停止の可能性を示唆すると地銀株が買い戻され、株式相場は下げ幅を縮小。ただし、米消費者物価指数(CPI)の発表を10日に控えているほか、バイデン大統領と議会指導者との会合を控え債務上限問題への懸念がくすぶりマイナス圏で終了した。シカゴ日経225先物清算値は大阪比15円安の29225円。円相場は1ドル135円10銭台で推移している。
シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、やや売り先行で始まろう。米地銀株の不安定な動きは神経質にさせたものの、日経225先物はナイトセッションで底堅さが目立っていた。米債務上限問題への警戒や米CPIなどの重要インフレ指標の発表を控えているなかでは、積極的な売買は手控えられそうだが、押し目待ち狙いの買い意欲は強そうだ。また、決算発表がピークを迎えるなか、決算を手掛かりとした物色は活発であり、予想を上回る決算内容に対しては資金が集中する動きを見せている。昨日発表した任天堂<7974>は今期営業減益見込みながら、コンセンサスを若干上回る計画である。アク抜け的な動きを見せてくるようだと、弱い値動きを見せていた銘柄などへは決算を前にしたショートカバーの動きが意識されそうだ。
もっとも期待先行で買われていた銘柄などでコンセンサスを下回ってくるようだと失望売りが強まるため、新規での先回り的な動きは慎重にさせるだろう。そのため、決算発表後に改めてインパクトが強まるため、好決算銘柄へはギャップアップ後の一段高を狙った動きに向かわせやすい。日経平均は29000円~29250円辺りでのこう着が強まったとしても、個別物色によってセンチメントは改善傾向となりそうだ。
なお、昨日の引け後の決算では、寿スピリッツ<2222>、丸井G<8252>、ニトリHD<9843>、ニチレイ<2871>、三越伊勢丹<3099>、豊和工<6203>、テクマト<3762>、JMDC<4483>、ラウンドワン<4680>、興研<7963>などが注目されそうだ。また、本日はトヨタ<7203>の決算が予定されている。業績面での期待は限られそうだが、売り方の買い戻しの動きが入る可能性はありそうだ。
■任天堂、23/3営業利益 14.9%減 5043億円、24/3予想 10.8%減 4500億円
任天堂<7974>が発表した2023年3月期業績は、売上高が前期比5.5%減の1兆6016.77億円、営業利益は同14.9%減の5043.75億円だった。主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売が落ち込んだことが響いた。24年3月期業績は、売上高が前期比9.5%減の1兆4500億円、営業利益は同10.8%減の4500億円を計画。コンセンサスを若干上回る。
■前場の注目材料
・日経平均は上昇(29242.82、+292.94)
・1ドル=135.10-20円
・米原油先物は上昇(73.71、+0.55)
・米国景気は拡大
・日銀は金融緩和を継続
・コロナ後の人流再開
・大同メタル<7245>風力向け参入、60億円投じチェコに軸受の新工場
・大阪ガス<9532>英シェルとCCSバリューチェーン構築検討
・三菱電機<6503>エレファンテックに出資、金属インクジェット印刷技術活用
・IHI<7013>投資倍増5000億円、航空機エンジン・脱炭素重点 3カ年中計
・中部電力<9502>JERA、水素・アンモニア供給でタイ社と提携
・宝HD<2531>宝酒造インターナショナル、カナダ酒蔵を買収、米グループとシナジー
・鹿島<1812>高速道の橋脚工事にカーボンネガティブコンクリ導入
・東京ガス<9531>傘下の東京ガスネットワーク社、仏社とガス導管の脱炭素で連携
・三井金<5706>米モーフ3Dと3Dプリンター用銅クロム合金粉で宇宙分野に本格参入
☆前場のイベントスケジュール
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《ST》