株価指数先物【寄り前コメント】 ナイトセッションで一時3万円回復、達成感が意識されるもリバウンド継続でロング対応に
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 29880 +40 (+0.13%)
TOPIX先物 2128.5 +1.0 (+0.04%)
シカゴ日経平均先物 29870 +30
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
16日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。4月の米小売売上高は前月比0.4%増と3カ月ぶりにプラスとなったが、市場予想を下回った。一方で、自動車、ガソリン、建築資材、外食を除くと0.7%増と予想を上回ったため、金融引き締めの長期化につながるとの見方から売りが先行した。また、ホームセンター運営のホーム・デポ<HD>が2024年1月期の収益見通しを下方修正したことで、他の消費関連株にも売りが広がった。さらに、リッチモンド連銀総裁がさらなる利上げも辞さないとの見解を示し、追加の利上げ観測が強まったことも重荷となった。
債務上限問題を巡り、バイデン米大統領と共和党幹部らの協議を見極めたいとする模様眺めムードも強かった。そのなかで、サード・ポイントが新たに株式を取得したことが明らかになったアドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>、アルファベット<GOOG>が買われ下支えとなった。S&P500業種別指数はメディア、ソフトウエア・サービス、小売、半導体・同製造装置が上昇した一方で、不動産、エネルギー、公益事業、電気通信サービスが下落。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比30円高の2万9870円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中大阪比10円高の2万9850円で始まり、直後に付けた2万9830円を安値にリバウンドを見せており、2万9900円を挟んで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後に上げ幅を広げると、中盤には一時節目の3万円を回復した。終盤にかけては持ち高調整を動きが優勢となり、2万9880円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物は、シカゴ先物にサヤ寄せする格好で、やや買い優勢の展開になりそうだ。債務上限問題を巡る協議では依然大きな隔たりがあり、バイデン大統領はG7広島サミット開幕後に予定していたアジア歴訪を短縮し、合意を目指すようである。協議の難航は相場の重荷となろうが、警戒感の強まりは限られそうだ。
日経225先物は節目の3万円を回復したことで、いったんは達成感が高まりやすいところである。ただし、切り上がるボリンジャーバンドの+2σに沿ったトレンドを形成するなか、終値では2万9900円辺りに位置する+2σを下回っており、過熱感を抑えてリバウンドを継続しているため、ピーク感はないだろう。オプション権利行使価格の2万9875円を中心とした上下の権利行使価格29750円~3万円のレンジが意識され、ショート筋によるヘッジ対応に伴うカバーが強まりやすいと考えられる。
また、海外投資家による日本株選好の動きへの思惑が高まるなか、ロングにおいても下値を切り上げてくることになりそうだ。米国では主要な株価指数が下落したものの、大型テック株や半導体株の一角が買われており、この流れから東京市場でも指数インパクトの大きい値がさハイテク株に資金が向かう可能性があり、日経平均型優位の展開が意識されやすい。
3万円回復による達成感から短期的なショートは入りやすいだろうが、スタンスとしてはロング比率を高めておきたいところだ。オプション権利行使価格の2万9875円処の底堅さが意識されるようだと、次第に+3σが位置する3万450円辺りをターゲットとしたロング優位の需給状況になろう。なお、VIX指数は17.99に上昇した。依然としてボトム圏での推移を継続しているものの、終値で抵抗線として機能していた25日移動平均線を上回っており、やや慎重姿勢に向かわせそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.02倍に上昇した。25日線を上回って始まり、一時14.07倍まで切り上がる場面も見られた。その後はリバランスにより軟化する格好となったが、25日線はキープした。米ハイテク株物色の流れから、25日線を支持線としたNTロングは意識されそうである。ただし、米著名投資家ウォーレンバフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイB<BRK.B>が、米地銀のキャピタル・ワン・ファイナンシャル<COF>をポートフォリオに加えたことが明らかになった。金融セクターへの資金流入も意識されやすく、NTでのスプレッドは狙いづらいだろう。
株探ニュース