前場に注目すべき3つのポイント~利食い優勢も過熱を冷ましながらの強いトレンドを継続~
6日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
■利食い優勢も過熱を冷ましながらの強いトレンドを継続
■稲葉製作、23/7上方修正 営業利益 27.4億円←18.3億円
■前場の注目材料:東レ、“高付加価値”売上高2000億円増、25年度目標
■利食い優勢も過熱を冷ましながらの強いトレンドを継続
6日の日本株市場は、昨日の大幅上昇の反動から、やや利食い優勢の相場展開になりそうだ。5日の米国市場はNYダウが199ドル安、ナスダックは11ポイント安だった。債務上限問題が解決したことによる安心感や6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが見送られるとの見方が相場の支えとなった。一方で、先週末の大幅上昇を受けた利益確定の売りが広がった。また、5月のISM非製造業景況指数が悪化したことや米当局が大手米銀の資本要件を平均20%引き上げることを検討していると報じられ、大手銀が相場の重石となった。シカゴ日経225先物は大阪比140円安の32100円。円相場は1ドル139円50銭台で推移している。
シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、利食い先行から始まりそうだ。日経225先物は、ナイトセッションで一時32570円まで買われ、節目の32500円を回復した。いったんは達成感が意識されやすく、短期的には売りを仕掛けてくる商いも入りやすいところだろう。ただし、ボリンジャーバンドの+1σと+2σとのレンジを継続するなか、押し目待ち狙いの買い意欲は強いと考えられ、32000円辺りでの底堅さが見られそうである。過熱を冷ましながらの強いトレンドを継続していることから、ピーク感は出ていないだろう。そのため、売り仕掛け的な動きから軟化する局面においては、押し目狙いの好機となりそうだ。
米アップルは年次開発者会議「WWDC」の開催を前に期待から上昇し、最高値を更新した。しかし、新製品の複合現実(MR)ヘッドセット「ビジョン・プロ」を発表後は、下落に転じている。アップル関連などハイテク株への重荷となりそうだが、失望売りというよりは材料出尽くしといった形での利益確定の売りといったところだろう。ナスダックは小幅な下落にとどまっているほか、エヌビディアは続落ながら、高値圏での底堅い値動きを継続しており、センチメントの悪化にはつながっていない。
物色としては全般こう着ながらも先高期待は強く、中小型株での個人主体の売買に向かわせそうだ。生成AI関連への物色が根強いほか、昨日は水素関連への物色が見られた。本日は、インドの大手格安航空会社インターグローブ・アビエーションは、欧州エアバスに新たに500機の飛行機を発注する調整に入ったと報じられており、航空機部品などの関連銘柄への物色が意識されそうだ。また、ロシアに対するウクライナの反攻が始まった可能性があると報じられており、防衛関連なども物色の矛先が向かいそうだ。
■稲葉製作、23/7上方修正 営業利益 27.4億円←18.3億円
稲葉製作<3421>は2023年7月期業績予想の修正を発表。売上高は418.4億円から424.0億円、営業利益を18.3億円から27.4億円に上方修正した。コンセンサス(23億円程度)を上回る。材料、エネルギー価格の高騰はあったが、販売価格への転嫁を進めたこと、生産・物流コストの削減に努めたことなどから、計画を上回る見通しとなった。
■前場の注目材料
・日経平均は上昇(32217.43、+693.21)
・米原油先物は上昇(72.15、+0.41)
・米長期金利は低下
・米国景気は拡大
・日銀は金融緩和を継続
・東レ<3402>“高付加価値”売上高2000億円増、25年度目標
・日本製鉄<5401>特殊鋼棒線加工の3子会社統合
・ルネサス<6723>ニデックと協業、次世代「イーアクスル」開発
・日立造船<7004>青カビを不活化、深紫外線LED活用
・FUJI<6134>AME開発で独社とパートナー契約、2年内に投入
・三菱重<7011>グループの造船、スイス社と、アンモニア燃料供給技術で連携
・日精樹脂<6293>中国新工場12月稼働、生産コスト低減
・東急不HD<3289>都市の防災力・回遊性向上、ソフトバンクと、東京・竹芝でプロ拡大
・北越コーポ<3865>非フッ素濾材開発、環境規制に対応
・大阪ガス<9532>私募リート参入、賃貸住宅の運用効率化
☆前場のイベントスケジュール
<国内>
・08:30 4月毎月勤労統計・現金給与総額(前年比予想:+1.8%、3月:+1.3%)
・08:30 4月家計支出(前年比予想:-2.4%、3月:-1.9%)
<海外>
・10:30 豪・1-3月期経常収支(予想:+150億豪ドル、10-12月期:+141億豪ドル)
《ST》