来週の株式相場に向けて=「Buy on Dips」の買いは続くか
16日の東京株式市場は、前場と後場で明暗がくっきりと分かれる展開となった。前場は、岸田文雄首相が15日に「今国会での衆院解散は考えていない」と発言したことから、総選挙による株高思惑が剥落。日経平均株価は一時300円近く下落した。
しかし、昼休み中に日銀は金融政策の現状維持を発表。これを契機に後場は一転して買い基調となり、日経平均株価は200円を超える上昇でバブル崩壊後高値を更新した。
日経平均株価は3万3700円台まで上昇したが、「次の節目である3万4000円近辺には、オプションなどの行使価格があるとみられる」(市場関係者)という。このため、もし3万4000円を突破すると一気に売り方の買い戻しが入る展開もあり得る。3万4000円近辺では荒い値動きも予想されるだけに、注意が必要だろう。
そんななか、この日午後の日経平均株価の上昇は「海外筋によるBuy on Dips(下がったら買い)姿勢による下値拾いによるもの」(アナリスト)とみられている。この日本株買いの背景にあるのは「米S&P500指数の昨年秋からの上昇率が20%を超えるなど強気相場入りするなか、海外勢の買い余力が増していることが大きい」(同)とみられている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)を含めビッグイベントを通過したが、来週は21日と22日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による議会証言が予定されている。ハト派的と捉えられたFOMCでのパウエル議長の発言だが、来週の議会証言ではその修正が図られる可能性も指摘されている。来週のパウエル議長の発言次第では、東京市場に影響が出る可能性がある。
来週は、19日は米国が奴隷解放記念日で休場、20日に米5月住宅着工件数、23日に米6月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。
国内では21日に4月開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表される。同日に5月訪日外客数が発表され、通常国会が会期末を迎える。23日に5月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。23日にツルハホールディングス<3391>が決算発表を行う。また、21日にオービーシステム<5576>、シーユーシー<9158>、22日にリアルゲイト<5532>、アイデミー<5577>、23日にARアドバンストテクノロジ<5578>がIPO(新規上場)を予定している。来週の日経平均株価の予想レンジは3万3300~3万4200円。(岡里英幸)