伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 6月18日版
日経平均は週明け後戻り高値を確認する作業へ入る公算
1. 日経平均の急上昇はバブル期であっても8000円幅が限界だった
日経平均株価は上昇が加速した始点である3月16日安値の2万6632円から前週末の高値3万3772円まで、3カ月の期間で7140円幅の上げ局面となっています。1月4日安値の2万5661円(現時点での年間の最安値)からは、8111円幅の上げです。
図1は、5月21日の本コラムで紹介したものと同じ、1985年以降の年間の変動幅に年間の方向を加えたものです。
年間が陽線引けして、8000円幅以上の上昇局面を経過した年は、1987年、1988年と1989年、2020年の4回しかありません。
1987年は、年初から10月までの期間で8120円幅の上昇を経過した後、ブラックマンデーと呼ばれる株価暴落場面が表れています。
日経平均株価は1月から6月12日まで一本調子の上昇局面を経過していましたが、6月12日の高値2万6000円が強い抵抗となって、7月23日の安値2万2401円まで3599円幅の下げを経過しています。
10月14日の年間最高値2万6646円は、6月の高値を一時的に超えてつけたものに過ぎません。
1988年は、1月4日に年間の最安値2万1148円をつけて、その後、6月17日の高値2万8394円まで一本調子の上昇の動きを経過して、一気に7246円幅の上昇を経過しています。6月に戻り高値をつけた後、10月下旬まで横ばいに推移して、年末へ向けた上昇の流れへ入っています。
バブルの最終段階へ向かう上げ場面でも、7000円幅の上げを経過した後、半年近く動かなくなったわけです。
1989年は、1月5日の年間最安値3万0082円から5月29日の高値3万4337円まで5カ月かけてジグザグに上昇、4255円幅の上げを経過した後、6月に調整入りし、6月16日の安値3万2605円から12月29日の高値3万8957円まで6352円幅の上昇を経過しています。その後、バブル崩壊となりました。
バブルの絶頂期である1987年ですらだいたい5カ月で8000円幅の上げを経過すると、急反落がありました。そして、1年を通じて上昇を継続して8000円幅の上げを経過した後は、大勢の上昇局面が終焉を迎えています。
2020年は、2月20日の高値2万3806円から3月19日の安値1万6358円まで、19営業日で7448円幅の下げ場面を経過しています。
その後、大規模な金融緩和と経済対策を実行して、株価が一気に値を戻す動きとなっています。
日経平均株価は、6月9日の高値2万3185円まで上昇した後、11月まで横ばいに推移して再び上昇を開始しています。
暴落の反動高と、大幅な量的緩和、政府支出の決定でも、株価はだいたい3カ月で6827円幅を上げることが精いっぱいだったわけです。
11月以降の上昇は、バイデン政権の誕生と12月に決定した73兆円規模の日本の追加経済対策を好感した動きになります。
日経平均株価は、2021年10月30日の安値2万2948円から2022年2月16日の高値3万0714円まで、だいたい3カ月で7766円幅の上昇局面となっています。
2月16日以降は、7カ月近く戻せば売られる展開を継続して、8月20日の安値2万6954円まで3760円幅の下げ場面となっています。
19営業日で7448円幅の暴落からの反動高が追加されても、70兆円以上の規模の経済対策が決定されても、上昇できる値幅は3カ月で7000円幅程度だったわけです。
図1 日経平均株価の年間の変動幅