米国株式市場見通し:CPIや銀行決算に注目
FRBが金融政策を決定する上で重要なインフレ指標である6月消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の発表に加え、主要銀行の決算発表が予定されている。
雇用や消費関連指標は予想以上に強く、短期金融市場では7月の利上げ再開がほぼ織り込まれたほか、年内2回目の利上げも織り込まれつつある。6月のCPIは価格圧力の緩やかな後退が引き続き示される可能性が強い。しかし、コアCPIの鈍化ペースは想定以上に遅く、連邦準備制度理事会(FRB)の目標2%達成には程通い状況だ。もし、FRBの利上げ継続姿勢をさらに後押しする結果になると、引き続き相場の重石になるだろう。銀行決算では、3月初旬のシリコンバレー銀破綻に起因した地銀混乱による影響が焦点だ。また、金融セクターには規制強化など不安も残る。ただ、一部のアナリストは銀行セクターがS&P500業種別指数の11業種のうち最も高い前年比での収益の伸びを示すことになると期待している。期待通りの好決算となった場合、相場全体を支えることになりそうだ。
本年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を持っているダラス連銀のローガン総裁は6月FOMCで利上げ継続が完全に適切だったとの考えを示した。FOMC議事録では最終的に利上げ見送りで合意したが、数人の高官が利上げ継続を支持したことが明らかになっており、7月FOMCでも利上げ再開を支持する可能性がありそうだ。
経済指標では、5月卸売在庫(10日)、6月消費者物価指数(CPI)(12日)、6月卸売物価指数(PPI)、週次新規失業保険申請件数(13日)、6月輸入物価指数、6月ミシガン大消費者信頼感指数(14日)などが予定されている。また、FRBは12日に地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表する。この結果は次回7月FOMCでFRBが金融政策を決定する上で重要な材料の一つとなる。特に雇用の状況や消費動向、インフレなどに関するコメントに焦点をあてたい。
さらに、10日には、バーFRB副議長が銀行監督、規制、新資本規制に関して討論する予定で、今後の金融機関に対する規制強化の可能性を見極める観点から注目材料だ。
主要企業決算では、銀行でシティグループ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ(14日)が予定されているほか、航空会社でデルタ、飲料品メーカーのペプシコ(13日)、管理医療会社のユナイテッドヘルス・グループ(14日)、などの発表が予定されている。デルタやペプシコは値上げや消費の根強さが業績を支えると期待したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》