富田隆弥の【CHART CLUB】 「サマーラリー続くNYダウ、FOMCが焦点に」
◆NYダウは19日時点で8連騰を演じ、1年3カ月ぶりに3万5000ドル台に乗せた。背景には、インフレの鎮静化を示す指標が相次ぎ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で打ち止めになるとの観測が台頭したことがある。
◆また、「生成AI」を巡って、マイクロソフト<MSFT>やメタ・プラットフォームズ<META>、アップル<AAPL>、セールスフォース<CRM>、テスラ<TSLA>など主力企業の動向を伝える報道が続いていることや、大手金融機関などを皮切りに始まった米国企業の決算発表が総じて好調だったこともある。
◆そして、NYダウのチャートだ。NYダウは1年間にわたり上値を抑えてきた3万4000ドル台の節を抜いたことで、上昇に弾みを付けた。こうなると次に目指すのは、2022年1月に付けた史上最高値の3万6952ドルとなる。1年半の調整を挟んで表れた急動意だけに、高値奪取は時間の問題と言えそうだ。
◆サマーラリーの様相を呈するNYダウだが、25日・26日開催のFOMCがポイントになりそうだ。FOMCを機に株価が調整に転ずるケースはこれまで少なくなく、バカンスシーズンを前に利益確定売りが出るなら、8月調整のシナリオも否めなくなる。
◆日本株もNYダウに追随する形で上昇を期待したいところだが、20日時点の日経平均株価は3万2490円と25日移動平均線(3万2925円)の下方にまだ位置する。同時株高に発展するのが理想だが、5月、6月と日本に流入した投資マネーが米国に回帰しているとするなら、日本株の夏休みはすでに始まっていることになる。
◆信用取引の買い残高は3兆6411億円(2市場、7月14日申し込み現在)に膨らみ、日経平均株価が25日線の下でもたつくようだと、需給悪化懸念が強まりかねない。いずれにせよ、相場は「流れに従う」のが基本だ。典型的な天井型から調整入りした日経平均株価だけに、25日線の突破、次いでダブルトップを付けた3万3700円台を上抜くまでは冷静な対応が求められよう。夏枯れ相場のアノマリーを持つ甲子園(高校野球)とお盆の季節がやってくる。
(7月20日 記、次回更新は7月29日を予定)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース