米国株式市場見通し:雇用統計や主要ハイテク決算に注目
今後の利上げ軌道を確認する目的から最新の雇用統計に注目だ。また、オンライン小売りのアマゾン・ドット・コムや携帯端末のアップルなどの決算で消費動向を判断することになる。主要ハイテクを含め企業決算が相場の鍵を握ることになりそうだ。特に注目度の高いアップルは高インフレや高金利が逆風となり、前年に比べて需要が鈍化し減収減益が予想されている。しかし、同社の決算が市場の失望につながった例は少なく、むしろ想定外に需要の底堅さが明らかになった場合には相場全体を押し上げるきっかけになろう。ほか、利上げ終了が視野に入ったことや中国の追加刺激策期待が相場の上昇をけん引しよう。
FRBは今週開催のFOMCで予想通り0.25ポイントの利上げを再開。パウエル議長はインフレが依然としてFRBの目標には程遠いとし、追加利上げも除外しなかった。6月消費者物価指数(CPI)の予想以上の伸び鈍化は歓迎するとしたが、今後基調が継続するかどうかを注視していく姿勢だ。今後の政策はデータ次第で、9月FOMCで再び利上げが実施される可能性も示唆した。一方、労働市場も依然力強いものの、求人件数や自主退職者数の減少から一部で減速の兆しもあると指摘しており、雇用統計とともにJOLTS求人件数の結果で労働市場動向を確認したい。労働市場のひっ迫緩和が確認されれば、追加利上げ観測が後退し更なる相場支援材料になるだろう。
今週は地銀のパックウエスト・バンコープが同業のバンク・オブ・カリフォルニアと株式交換を通じて合併すると発表。実質的に規模では同行の4分の1だが預金流出が比較的少ないバンク・オブ・カリフォルニアが同行を買収することで金融不安払しょくを目指すという。31日にはFRBが4-6月期の銀行融資担当者調査結果を発表する予定で、一段の融資基準の厳格化の兆候が見られるかどうかに注目だ。シリコンバレー銀などの銀行破綻を受け、FRBは27日に総資産1000億ドル以上の中堅・大手銀を対象に自己資本規制を厳格化する規制案を発表。実施されると、金融セクターのネガティブ材料となるため警戒だ。
経済指標では、7月シカゴ購買担当者景気指数(PMI)、7月ダラス連銀製造業活動指数(31日)、6月建設支出、6月JOLTS求人件数、7月ISM製造業景況指数(8月1日)、7月ADP雇用統計(2日)、4-6月期非農業部門労働生産性、週次新規失業保険申請件数、7月ISM非製造業景況指数(3日)、7月雇用統計(4日)、などが予定されている。
主要企業決算ではハイテク関連でオンライン決済のペイパル(2日)やブロック、オンライン小売りのアマゾンや携帯端末のアップル(3日)、半導体ではアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(1日)、クアルコム(2日)。ほか、製薬会社のファイザーや重機メーカーのキャタピラー、コーヒーチェーンのスターバックス、配車サービスのウーバー・テクノロジーズ(1日)、総合ヘルスケアのCVSヘルス(2日)、オンライン旅行・予約サイト運営のエアビーアンドビーやブッキング・ホールディングス、メディアのワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー(3日)が予定されている。エネルギー関連ではダイヤモンドバック・エネルギー(7月31日)、デボン・エナジー(1日)、オキシデンタル・ペトロリアム(2日)、コノコフィリップス(3日)、ドミニオン・エナジー(4日)が発表予定。エネルギー関連では、すでに決算を発表済みのエクソンは原油安が響き、内容がふるわずに株価の下落に繋がっており、注意が必要だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》