【杉村富生の短期相場観測】 ─やはり、有効な「PBR1倍奪回作戦!」

市況
2023年7月30日 9時15分

「やはり、有効な『PBR1倍奪回作戦!』」

●引き続いて個別銘柄中心の投資戦術を!

株式市場にとっては短期的に、ネガティブなニュースではないか。FRB(米連邦準備制度理事会)は7月25日~26日のFOMC(連邦公開市場委員会)において、予定通り0.25%の利上げを行った。ECB(欧州中央銀行)は27日の理事会で0.25%の利上げに進んだ。FRB、ECBともに、「利上げ継続」の姿勢を示している。

欧米の中央銀行は金融引き締めにもかかわらず、景気が底堅いこと、ソフトランディング(軟着陸)に自信を深めているのだろう。

一方、日銀の27日~28日の金融政策決定会合ではYCC(イールドカーブ・コントロール→長短金利操作)の枠組みは維持したものの、長期金利操作の上限(0.5%)を超えることを容認(指し値オペの水準は1.0%)、柔軟運用に転換した。実質、超金融緩和政策の微修正である。

これを受け、28日の外為市場では1ドル=138~139円に円高が進行した。日経平均株価も一時急落だ。円安→物価上昇は永田町(政界)中心に批判のマトになっていた。それだけに、ここでの円高は日銀には「好都合」だと思う。

しかし、株式市場には金融引き締め、円高が悪材料となる。いずれにせよ、8月相場は再三指摘しているように夏枯れ”商状となろう。サマーバカンス、猛暑とあって、市場参加者は減る。それに、高校野球が始まる。だからこそ、個別銘柄(森を見ず、木を見よ)での投資戦術が有効と主張している。

●配当取りと値上がりを狙う二刀流!

物色面はどうか。やはり、「PBR1倍奪回作戦」に引き続いて注目できる。筆者は昨年来、トヨタ自動車 <7203> [東証P]、パナソニック ホールディングス <6752> [東証P]の買いを強力に提唱してきた。PBR(株価純資産倍率)1倍水準が「最低目標だ」と。この2社はPBR1倍を超えた。まずはやれやれである。

次は三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]だろう。1株純資産は1433円(PBRは0.79倍)、2024年3月期の配当は41円(前期は32円)を予定している。時価の配当利回りは3.6%と高い。ここでの投資はキャピタルゲインとインカムゲインの“二刀流”が狙える。

ENEOSホールディングス <5020> [東証P]の株価は510円絡み。この水準のPBRは0.54倍と出遅れが著しい。2024年3月期配当は22円の予定だ。配当利回りは4.3%になる。配当を取りつつ値上がり益を狙う作戦は妙味十分と判断する。

このほか、インドに強いホンダ <7267> [東証P]系のエフ・シー・シー <7296> [東証P]のPBRは0.57倍、インターホン大手のアイホン <6718> [東証P]のPBRは0.69倍だ。トヨタ自動車グループの愛知製鋼 <5482> [東証P]のPBRは0.33倍にすぎない。

「ギガキャスト」を手掛かりに好人気のリョービ <5851> [東証P]だって、PBRは0.67倍と1倍割れだ。PBR1倍奪回には当局の強い要請がある。波乱相場ではダウンサイドリスクが乏しい。もちろん、上値は期待できる。

ハイ・グロースの個別銘柄ではAI(人工知能)活用のABEJA <5574> [東証G]、ドローンを武器に飛躍を図るACSL <6232> [東証G]、睡眠データ解析技術を通じたAI開発などを手掛けるエコナビスタ <5585> [東証G]、テスラ<TSLA>関連の小田原エンジニアリング <6149> [東証S]などに妙味があろう。

2023年7月28日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.