日経2日連続で急速な下げ渋りも安心できず/後場の投資戦略
日経平均 : 31565.21 (-60.79)
TOPIX : 2243.56 (-9.50)
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は前日同様、一時大きく下落したものの、その後は急速に下げ渋って心理的な節目の31500円を回復するなど、底堅い動きを見せている。
前日の米株式市場は軟調な展開が続き、ナスダック指数やS&P500種株価指数に続いて、ダウ平均も遂に50日移動平均線を終値ベースで割り込んだ。日経平均も75日線や13週線を割り込んでいるため、日米ともにトレンドの転換が鮮明になっており、マネーフロー(資金の流れ)など相場の基調自体は悪化していると思われる。
加えて、日本時間で本日の寄り付き前には、中国不動産大手の中国恒大集団が米国で破産申請したと嫌なニュースが伝わっていた。週末の休暇中における突発的なリスクを避けたいとする動機から、リスク回避的な動きが増幅されやすく、本日は買い戻しが入りにくいと考えられた。
しかし、中国恒大集団の問題については、同社の経営を巡る昨年からの一連の報道などを通じて、ここまでの事態悪化は概ね織り込み済みだったもよう。また、足元で香港ハンセン指数や上海総合指数は既に大きく売り込まれていたため、改めてここから一段と売るような材料とは捉えられなかったのかもしれない。また何より、中国人民銀行が人民元の基準値設定により人民元安をけん制していることが、中国・香港株の下げ渋りを通じて売り方の買い戻しを誘っているのかもしれない。
ただ、中国の不動産業界では恒大集団だけでなく、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)など大きな問題を抱える企業が数多く存在し、中国発のリスクが市場に与える影響については、まだ予断を許さないだろう。
一方、米長期金利の上昇に一服感が見られている点はやや安心感の創出に寄与している。米10年債利回りは17日、一時4.33%まで上値を伸ばしたが、その後4.25%程度にまで水準を切り下げている。
また、日本の10年物国債利回りも今週は再び上昇が続いていたが、本日は低下している。本日寄り付き前に発表された7月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数で前年同月比+4.3%と前回6月分(+4.2%)から拡大し、1981年以来の高水準を記録した5月分と並んだ。ただ、市場予想と一致し、上振れとはならなかったこともあり、国内長期金利への上昇圧力にはなっていない。
日米長期金利の上昇一服は目先の安心感として、本日、前場の東京株式市場の買い戻しなどに寄与しているのかもしれないが、来週は国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催される。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言次第では日米の長期金利の上昇基調が再開する可能性もあり、株式市場がここで下げ止まったと判断するのは時期尚早だろう。
足元、中小型グロース(成長)株で必要以上に売られているような銘柄が多く見られるが、日米の長期金利の先高観がくすぶるなか、こうした関連銘柄への押し目買いについては、今はぐっと堪えたい。仮に買うにしても、今はまだ打診買いにとどめて余力は十分に残し、また、追証などのペナルティが発生しない現物投資に限った方がよいだろう。(仲村幸浩)
《AK》