鈴木英之氏【米国・中国リスク警戒、夏の波乱局面の行方を探る】 <相場観特集>

特集
2023年8月21日 18時30分

―中国・不動産業界と米金融引き締め長期化への懸念が警戒感呼ぶ―

日経平均株価が調整色を強めている。18日には3万1450円まで下落し6月1日以来、2ヵ月半ぶりの安値圏に下落した。週明けのきょう21日は反発したものの先行きに対する不透明感は依然として強い。主に米国の金融引き締め長期化と中国不動産業界に対する不安が足もとの下落を呼んでいる。今回の調整をどう判断すればいいのか。SBI証券投資情報部長の鈴木英之氏に聞いた。

●「中国情勢には悪化余地も、半導体関連や好業績銘柄に注目」

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

足もとの東京株式市場の下落は、米国の金利上昇や中国、欧州の景気不安などを背景にした面が大きいだろう。24~26日の米ジャクソンホール会議などを確かめる必要があるが、米国の景気は今後どんどん強くなって金利も上昇していくという状況ではないとみている。意外に景気が冷めない、というのが実状だろう。これは、コロナ禍の景気対策で米政府が家計にお金を配ったことも影響しているのではないか。米国は年内あと1回利上げがあるかどうかという局面にあり、それを確かめる状況だろう。

一方、中国の状況は、今後悪化する余地は残されていると思う。大手不動産企業の状況に端を発したものだが、これが今後、不良債権問題に発展した場合、不良債権の実態を当局が把握して思い切った措置を取ることが求められる。しかし、誰も責任は取りたがらないから実態の把握が遅れ対策が遅れることが懸念される。また、欧州の景気にも不安感は残る。

日本は、脱デフレの動きが出てきており、日本国内へ生産拠点が回帰する動きもみられるなどポジティブな要素はある。しかし、株価が独歩高となるほどのエネルギーはなく、外部環境悪化の影響は響くと見ざるを得ないだろう。

こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは3万900~3万2400円前後を見込んでいる。8月いっぱいは調整色が続くが、9月に入り値を戻す展開も予想している。

個別銘柄では、株価に打たれ強さが出てきたレーザーテック <6920> [東証P]や東京エレクトロン <8035> [東証P]などの半導体関連株に見直し余地がありそうだ。また、4-6月期決算の好業績銘柄や、脱デフレに絡んで値上げ力がある銘柄などに注目している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)

早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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