為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、米長期金利の動向が手掛かり材料に
【今週の概況】
■ドル強含み、米追加利上げの可能性高まる
今週のドル・円は強含み。米国金利の先高観は後退していないこと、中国経済の先行き不安が増大したことから安全逃避のドル買いが観測された。7月中古住宅販売件数が予想以上に減少したことや8月23日発表のユーロ圏と米国の8月総合PMI速報値は市場予想を下回ったため、米国金利の先高観はやや後退し、リスク回避のドル売り・円買いが一時優勢となった。しかし、24日発表の米分新規失業保険申請件数は増加予想に反して減少したこと、ボストン連銀のコリンズ総裁が追加利上げの必要性について言及すると再びドル買いが強まった。
25日のニューヨーク外為市場でドル・円は、145円73銭まで下落後、一時146円63銭まで買われた。この日行われたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演でインフレ目標達成への道のりは長く、追加利上げを実施する姿勢を表明したため、米長期金利は下げ渋り、米国株式は反発したことからリスク選好的なドル買い・円売りが優勢となった。ドル・円は146円45銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:144円54銭-146円63銭。
【来週の見通し】
■ドルは伸び悩みか、米長期金利の動向が手掛かり材料に
来週のドル・円は伸び悩みか。米国経済の堅調さを背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融引き締め政策を継続する可能性が高まっている。7月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨によると、ほとんどの当局者が目先のインフレ率再加速を予想。利上げ継続の方針を正当化すると考えていたことが明らかとなった。8月25日に行われたパウエルFRB議長の講演では、「インフレが持続的に鈍化するまで金融引き締めを維持する」との見解が提示されたが、市場の想定と大差なかった。ドル・円は146円台半ばまで買われているが、日本政府・日本銀行による為替介入への警戒感は消えていないため、目先的にリスク選好的なドル買い・円売りはある程度抑制されそうだ。また、中国リスクも過度な円安を抑制する要因となるため、主要通貨の対円での一段の上昇は想定しづらい。来週発表される8月消費者信頼感指数、7月コアPCE価格指数、8月雇用統計などの経済指標を受けた米長期金利の動向も注目されそうだ。
【米・8月消費者信頼感指数】(8月29日発表予定)
8月29日発表の米8月消費者信頼感指数は116.9と、7月からほぼ横ばいの見通し。市場予想を上回った場合、金融引き締め長期化の方針を後押しし、ドル買いを誘発する材料となろう。
【米・8月雇用統計】(9月1日発表予定)
9月1日発表の米8月雇用統計は失業率が3.6%とやや悪化、非農業部門雇用者数は前月比+16.3万人と減少、平均時給は前年比+4.3%と予想され、市場予想と一致、または下回った場合は米金利安・ドル安要因になりやすい。
予想レンジ:144円80銭-147円50銭
《FA》