話題株ピックアップ【夕刊】(1):リョービ、さくらネット、マツダ
■リョービ <5851> 3,090円 +250 円 (+8.8%) 本日終値 東証プライム 上昇率3位
リョービ<5851>が急動意、8月中旬以降はジリ高基調にあったが、目先25日移動平均線を足場に大陽線で上放れてきた。自動車業界を代表するトヨタ自動車<7203>の電動化戦略に耳目が集まるなか、得意とするハイブリッド車の売れ行きが国内外で好調だ。米国ではバイデン政権が電気自動車(EV)シフトの促進を目的に120億ドル(約1兆7700億円)規模の財政支援を行うことを発表したが、EVのほかハイブリッド車や燃料電池車もその対象に含めるとしており、トヨタの収益環境に吹く追い風が強まっている。そうしたなか、トヨタは大型の鋳造設備で複数のアルミ部品を一つのパーツとして成型する新たな生産技術「ギガキャスト」を新たなEV戦略の一環に掲げており、リョービはこのギガキャストを使う大型車体部品製造に参入する方針が伝わっていることで、関連有力株としての位置付けで注目度が高まっている。なお、株式需給面ではゴールドマン・サックス証券経由で貸株調達によるリョービ株式の空売りが高水準に積み上がっていたが、目先はその買い戻しが株価に浮揚力を与えているもようだ。
■さくらインターネット <3778> 1,392円 +112 円 (+8.8%) 本日終値 東証プライム 上昇率4位
さくらインターネット<3778>の戻り足が鮮明。独立系のデータセンター大手でクラウドサービス事業に経営資源を投下している。企業や官公庁のデジタルトランスフォーメーション(DX)需要を取り込み業績は好調、24年3月期営業利益は前期比33%増の14億5000万円を見込む。6月中旬に経済産業省からクラウド基盤の整備を目的とした「クラウドプログラム」の供給確保計画で認定を受け、これを材料に急速人気化し6月20日ザラ場に1750円の高値を形成した。その後は反動安に見舞われたが、8月中旬を境にリバウンド相場に移行している。きょうは約2週間ぶりに戻り高値をクリアし、買いに弾みがついている。
■Speee <4499> 3,250円 +205 円 (+6.7%) 本日終値
Speee<4499>が急騰した。日本経済新聞電子版が5日の取引終了後、「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほFGは企業間決済に使うデジタル通貨で連携する」と報じた。スピーは子会社が三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>傘下の三菱UFJ信託銀行などによるステーブルコイン「プログマコイン」を技術面でサポートしており、今後の事業へのポジティブな影響を期待した買いが入ったようだ。「ジパングコイン」の取引システムを手掛けたインタートレード<3747>や、デジタル地域通貨の発行プラットフォームの提供企業に出資したアクリート<4395>なども買われている。
■フジ・コーポレーション <7605> 2,071円 +127 円 (+6.5%) 本日終値 東証プライム 上昇率5位
フジ・コーポレーション<7605>が急伸。5日の取引終了後に23年10月期第3四半期累計(22年11月~23年7月)の単体決算を発表した。最終利益は前年同期比19.0%増の34億1000万円となった。直近3カ月間の23年5~7月期では8割を超える大幅な最終増益となったほか、第3四半期累計最終利益の通期計画に対する進捗率は91%に上っており、評価されたようだ。第3四半期累計の売上高は同8.0%増の347億7000万円だった。夏タイヤの値上げに続き、第3四半期(5~7月)には冬タイヤの値上げがあった。値上げ前の駆け込み需要が業績を押し上げたという。
■山口FG <8418> 1,265.5円 +76.5 円 (+6.4%) 本日終値 東証プライム 上昇率6位
山口フィナンシャルグループ<8418>は大幅高で上値追い加速。同社は傘下に山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行を持つ金融持ち株会社。貸出金利息の増加により、4~6月期は経常収益が前年同期比22.6%増の456億8000万円、純利益が同15.0%増の87億7300万円と好調。通期でも大幅な最終増益を見込んでいる。大和証券が5日付で同社の格付けを引き上げており、きょうはこれを手掛かりに大きく買われた。
■ポート <7047> 2,850円 +146 円 (+5.4%) 本日終値
ポート<7047>が大幅続伸。同社は5日取引終了後、人材紹介サービスの更なる成長を目指し、本格的に地方展開を開始すると発表しており、これが材料視されたようだ。第1弾として10月2日に、テストマーケティングを行っていた大阪に拠点を開設する予定。同社では地方展開、拠点開設を通じて首都圏以外の求人企業数の増加を図り、既にある会員数の基盤を活用することから広告宣伝費を新規投下することなく、人材紹介件数の増加及び1会員あたりの売り上げを更に上げるための施策になるとみている。
■スマレジ <4431> 2,443円 +123 円 (+5.3%) 本日終値
スマレジ<4431>がマドを開けて大幅高。スマートフォンを使ったPOSレジアプリの開発・販売を手掛けるが、時流を捉え契約店舗数が好調な伸びを示している。5日取引終了後に発表した8月のクラウドPOSレジ「スマレジ」有料プラン登録店舗数は前月比814店増の3万1921店舗と順調に拡大しており、これが投資資金を誘導している。株価は2000円台前半のもみ合いを経てボックス圏離脱を鮮明としているが、前週末に5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを示現したのに続き、今週は25日・75日移動平均線のゴールデンクロスが目前で、テクニカル的にも買いが入りやすくなっている。
■マツダ <7261> 1,680円 +75 円 (+4.7%) 本日終値
マツダ<7261>は続急伸した。大和証券が5日、マツダのレーティングを「3」から「2」に引き上げた。目標株価は1300円から1800円に見直している。良好な米国市場が追い風となるなか、米国工場の2直稼働に伴う中型SUV「CX─50」の供給改善や、新型3列シートの「CX─90」の本格展開により、取り組みの成果が販売台数に直結しやすくなると分析する。同証券は競争環境や為替水準の変化によるリスクなどを考慮し、短期(3~6カ月)を意識して推奨したいとしている。
■三櫻工業 <6584> 1,021円 +36 円 (+3.7%) 本日終値
三櫻工業<6584>の上値追い鮮烈。4ケタ大台を回復し、連日の年初来高値更新。きょうで8連騰、しかも日足5陽連となり上げ足も加速している。独立系の自動車部品メーカーで、自動車用チューブで高い商品競争力を誇りグローバルに展開、海外売上高比率は8割に及ぶ。特に経済成長著しいインドでの展開に力を入れており、中期的な成長戦略に注目が集まっている。世界的な電気自動車(EV)シフトにも早くから対応、6月にはステランティス・グループから小型SUV向けブレーキ配管の新規受注を獲得したことを発表している。全固体電池分野の研究開発でも先駆的存在で、ハイブリッド車やEVへの需要拡大を背景に存在感を高めている。きょうの株価4ケタ大台乗せでPBRもちょうど1倍に到達、経営努力が奏功し東証の改善要請に応える格好となった。
■ロック・フィールド <2910> 1,598円 +53 円 (+3.4%) 本日終値
ロック・フィールド<2910>が反発。同社は5日取引終了後、24年4月期第1四半期(5~7月)の連結決算を発表。営業利益は前年同期比14.5%増の4億8200万円となり、上半期計画8億100万円に対する進捗率が60.2%となったことが好感されたようだ。売上高は同3.0%増の125億8000万円で着地。価格改定の効果や商品施策の実施などが寄与した。なお、上半期及び通期の業績予想は従来計画を据え置いている。
株探ニュース