材料に対し悪反応が先行しやすい状況か/後場の投資戦略
日経平均 : 32675.89 (-100.48)
TOPIX : 2375.13 (-4.78)
[後場の投資戦略]
本日の東京市場は全般もみ合いの展開。米長期金利の先高観がくすぶるなか、今晩の米8月消費者物価指数(CPI)の発表を前に様子見ムードが強まっている。前日の米10年債利回りはほぼ横ばい。米10年債入札は堅調だったようだが、最高落札利回りは2007年以来の高水準を記録。インフレ高止まりと米財務省の国債発行拡大を受けて高い利回りが要求されているようだ。
米8月CPIは、食品・エネルギーを除いたコア指数は前年同月比+4.3%と7月(+4.7%)から鈍化が予想されている。一方、全体を示す総合CPIは同+3.6%と7月(+3.2%)から加速が予想されている。モメンタムを示す前月比ではコア指数が+0.2%と7月(+0.2%)から横ばい、総合は+0.6%と7月(+0.2%)から大きく加速する見通しだ。
12日、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト、期近物)は一時1バレル=89.37ドルと昨年11月以来の水準にまで上昇し、年初来高値更新トレンドを続けている。昨日発表された石油輸出国機構(OPEC)の月報で、サウジアラビアの減産延長により、世界の石油市場は10-12月期に日量300万バレル超の供給不足、過去10年余りで最大の供給不足に直面する見通しが示されたことが材料視された。
原油市況の上昇が警戒されているなか、市場は今回の米CPIで、コアCPIの鈍化よりも総合CPIの加速の方をネガティブに捉える可能性があり、米金利上昇が誘発する株安には注意を払いたい。
ほか、9月1-7日に実施されたバンク・オブ・アメリカ(BofA)のファンドマネージャー調査が公表された。同調査結果からは、投資家の中国株を敬遠する動きが強まっていることが米国株などへの追い風になっているという指摘がされている一方、米国株の資産配分は前回調査から29ポイント拡大し、差し引き7%のオーバーウエートとなったことも示された。オーバーウエートは昨年8月以来だという。
各国の金融政策運営や世界の景気動向について先行き不透明感がくすぶるなか、果たして、ここから先いったいどれだけの買い余力が残されているのだろうか。最近の株式市場の動きを見る限り、市場はすでに大方の好材料を概ね織り込み済み、買いが一巡して需給も重しになってきているような印象を受ける。あらゆる材料に対してポジティブな解釈・反応よりもネガティブな解釈・反応が先行しやすい状況とみられ、イベントが続く来週にかけての動きには注意が必要とみる。(仲村幸浩)
《AK》