【植木靖男の相場展望】 ─物色対象は引き続き“01銘柄”を!
「物色対象は引き続き“01銘柄”を!」
●日本株のターニングポイントは11月頃か
日経平均株価が下げ足を強めている。9月第4週がイベントウィークということもあったろうが、下落の大きな背景として挙げられるのは、本年6月以降、4回にわたって3万3300円台に乗せたものの、その水準を維持できずに反落してしまったことだ。投資家は3万3300円以上が上値の壁と認識したのだ。
この4回の反落は、いずれも米国株安がもたらした。4回目の時は3日間、小幅な押しをみせた後に一気に高値を更新し、今度こそ本格上昇かと期待を持たせたが、やはり米国株安、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表、さらに週末引け後の植田日銀総裁の会見を控えてあっけなく下げてきている。
このようにみると、今後の展開は米国株と為替の動向次第ということが明らかだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)はFOMCで政策金利の据え置きを決めたが、パウエルFRB議長はややタカ派的な姿勢を崩していない。インフレ収束は一筋縄ではいかず、遠い道のりを要すると判断しているようだ。
確かに、ここへきて原油価格が再上昇をみせ、また全米自動車労組のストで賃金上昇が予想されるとすれば、その判断もやむを得ないであろう。だとすれば、市場が熱望してやまない“不況なき金利低下”の実現も難しいかもしれない。株価は正直である。米国株はどうやら二番天井を打ったとの雰囲気が漂ってきている。
だが、大げさな言い方をすれば、いま世界で一人勝ちとなっているのは米国だ。それはドルインデックスを見れば明らかであろう。今後、米国株は下げても存外立ち直りは早いかもしれない。下げればとかく不安材料が表面化しやすいものだ。過剰貯蓄の払底、学生ローンの返済再開などによる消費失速懸念のほか、財政赤字の増加ペースも気になる。それでも米国経済は相対的に強いとみたい。
一方、為替の動向だが、注目されたのは植田日銀総裁の会見での発言だ。本コラム執筆時点の週末の後場前の報道では、日銀は金融政策について現状維持を決めたという。為替市場では若干、円安となっている。市場の読みでは政府・日銀の為替介入はないということか。米国はいまインフレと戦っている。ドル安は許されないのだ。当面、円安が続くか。
では、日本株は今後どう展開するとみればよいのか。大きな流れとしては、6月以降のレンジ相場がなお持続すると予想される。こうしたレンジ相場は通常、長くても半年くらいというのが経験則だ。6月から半年とすれば11~12月頃には保ち合いを放れ、本格上昇に転じるのではないか。食品、原油、不動産価格の上昇、加えて円安進行、需給ギャップのプラス転換などを考慮すれば、本格的なインフレ時代が到来し、日本株はそれに追随して上昇するとみるのが自然の流れであろう。
●インフレに強い内需株が物色の柱に
だとしたら、インフレ時代に強い物色対象は自ずと決まってくる。象徴的なのは9月19日の相場だ。日経平均株価が下落したにもかかわらず、TOPIXは終値ベースで33年ぶりの高値を更新したのだ。この一事をもってしても、今後の物色対象は明らかであろう。
やはり内需株だ。いうまでもなく、いまの日本経済は内需主導の経済成長を求めている。ここへきて圧倒的な強さをみせるのは鉄鋼、海運、銀行、不動産株だが、今後、さらに広がりをみせることになろう。
市場では建設、非鉄、化学などに焦点を絞っているようにみえるが、証券コード“01番”の銘柄を中心に知名度、流動性、材料性の三拍子揃った銘柄に注目すべきだ。また、かつてバブル時代に一世を風靡したQレシオを参考にして検討するのも一法だろう。
2023年9月22日 記
株探ニュース