伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 9月24日版
日経平均は10月に3万円以下まで下げる公算も
1. NYダウが10月に積極的に下げる場合の展開
図1は、1990年から2022年までの33年間のNYダウの10月から12月までの動き方を示しています。
2つの数値は、10月の始値と12月の終値の差と、10月の安値と12月の終値の差になります。これを見ると、10月の始値よりも12月の終値の方が低かった年は、1994年、1997年、2007年、2008年、2012年、2018年の6回しかありません。10月の安値と12月の終値との比較では、12月の終値が低かった年が2007年と2018年の2回しかありません。
ほとんどのケースで、NYダウは10月から12月の期間で上昇していることがわかります。月足が陽線引けする確率は11月、12月がともに73%と高く、上げ傾向が強くなっています。
10月から12月の期間で下げている年は、リーマン・ショックの起った2008年を除けば、すべて10月の値位置がその年の1月~10月までの最高値に位置しているか、最高値付近に位置しています。
図1 NYダウの10月から12月の動き方
以上のことを考慮すると、NYダウは下げやすい時期に下げて、10月までの期間で1月から9月までの期間の最高値より十分に下げているなら、9月、10月に押し目をつけて、年末へ向けて上昇する傾向があると見ることができます。
言い換えれば、それまでの価格が下げている場合、10月は年末までの最安値を確認する動きになりやすいということです。実際、チャートを見ていくと、10月はジグザグに推移して上値の重さ、下値堅さを確認する展開になっています。
ところで、10月に積極的な下げの流れを作っている年もあります。1992年、1997年、2000年、2004年、2005年、2007年、2008年、2014年、2018年は、それまでの値動きと比較すれば、10月に値幅が大きいと見ることのできる下げ場面が表れています。
これらの年の10月の値動きには、2通りのパターンがあります。
1つ目(1992年、2000年、2004年、2005年、2008年)は、9月からの下げの流れを継続する格好で、10月上旬から下げの流れを作るパターンです。
2つ目(1997年、2007年、2014年、2018年)は、9月が年間の最高値を目指す動きとなって、10月に戻り高値をつけて下げるパターンです。
本年は、9月14日の高値3万4977ドルが戻り高値となって、前週末まで一本調子の下げ場面となったことで、10月に年間の最高値付近へ位置している年にならないと考えられます。
本年は10月頃までに押し目をつけて、年末へ向けて上昇を開始する展開になる公算です。
今後の展開は、2通りに絞ることができます。9月14日以降の下げの流れを継続する格好で、10月が上旬から大きく下げる動きになるか、10月がジグザグに推移して下値堅さを確認する作業となるかのどちらかです。
どちらの場合でも、10月以降は上値を試す動きになると考えられます。
9月末までは、10月上旬に下げる(または10月に下値堅さを示す)準備の動きとして、いったん反発の動きが表れるか、目先の下げ余地が十分にあることを示す(9月中に一気に下値の限界を確認する作業を経過する)格好で、最近の下げの流れを継続するかのどちらかの展開になる公算です。
月末へ向けて価格が反発するなら、週明け後は8月25日の安値3万4029ドルが意識される格好で、すぐに3万4029ドル以上へ値を戻す動きが表れるはずです。