GMOーAP Research Memo(5):2023年12月期第2四半期は一時的費用も影響して減益
■業績動向
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
GMOアドパートナーズ<4784>の2023年12月期第2四半期の連結業績は、取扱高(収益認識基準適用前の売上高に相当)が前年同期比1.9%増の19,533百万円、売上高が同2.9%減の8,145百万円、営業利益が同85.0%減の78百万円、経常利益が同61.8%減の208百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同63.7%減の106百万円となった。取扱高はエージェンシー事業がけん引して増加したが、売上高はメディア・アドテク事業の回復遅れなどで全体として減収となり、利益面は前期の人財投資に伴う人件費の増加に加えて、事業運営活発化に伴う営業関連費用増加なども影響して減益となった。売上総利益は同4.0%減少し、売上総利益率は42.3%で同0.4ポイント低下した。売上総利益の自社企画サービス比率は前期同期と同水準の67%となった。販管費は同9.9%増加し、販管費率は41.3%で同4.8ポイント上昇した。なお上期の費用増加は一時的要因によるものが多く、下期はコスト抑制や生産性向上効果を見込んでいる。営業外収益では為替差益37百万円、投資事業組合運用益67百万円を計上した。
四半期別の業績は、取扱高は第1四半期が前年同期比10.3%増の10,399百万円、第2四半期が同6.2%減の9,134百万円、売上高は第1四半期が同7.1%増の4,269百万円、第2四半期が同11.9%減の3,876百万円となった。第1四半期は広告需要拡大を捉えて大幅伸長したが、第2四半期は前期同期に大幅伸長した反動に加えて、エージェンシー事業の主要顧客の一部で需要が想定ほど拡大しなかったことや、メディア・アドテク事業における広告単価下落なども影響した。第2四半期は減収や販管費増加の影響により営業損失となった。
エージェンシー事業は第2四半期に一時的に落ち込み
2. セグメント別の動向
セグメント別の動向は以下のとおりである。エージェンシー事業は取扱高が前年同期比5.2%増の16,180百万円、売上高が同3.4%増の5,361百万円、営業利益が同57.3%減の253百万円となった。取扱高・売上高については、第1四半期は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)からの広告需要回復を取り込んで増加したが、第2四半期は主要顧客の一部で需要が想定ほど拡大しなかったことなども影響して一時的に落ち込んだ。利益面は前期の人財投資に伴う人件費増加に加えて、事業運営活発化に伴う営業関連費用増加なども影響して減益となった。
メディア・アドテク事業は取扱高が前年同期比9.1%減の4,428百万円、売上高が同13.0%減の2,813百万円、営業利益が同28.7%減の234百万円となった。主力のライフスタイルメディア「michill byGMO」の広告収益が堅調となったものの、自社アドテク商材の広告単価下落や媒体仕入枠獲得競争の影響などで減収減益となった。アドテク商材がやや軟調となったため営業利益が2ケタ減となった。
健全な財務体質を維持
3. 財務の状況
2023年12月期第2四半期末の資産合計は前期末比942百万円減少して11,480百万円となった。主に現金及び預金が550百万円減少、受取手形及び売掛金が348百万円減少した。負債合計は同872百万円減少して6,117百万円となった。主に買掛金が421百万円減少、未払法人税等が130百万円減少した。純資産合計は同70百万円減少して5,363百万円となった。利益剰余金が94百万円減少(親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により106百万円増加、配当金支払により200百万円減少)した。この結果、自己資本比率は同2.9ポイント上昇して46.1%となった。貸借対照表では特に大きな変動項目はなく、キャッシュ・フロー計算書にも特に懸念材料は見当たらない。健全な財務体質を維持していると弊社では判断している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《SI》