為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、FRB議長発言を注視へ
【今週の概況】
■中東情勢悪化もドルは底堅い動きを保つ
今週のドル・円は底堅い値動きを保った。米連邦準備制度理事会(FRB)高官が「最近の長期金利の急伸で追加利上げの必要性は低下した」との見解を伝えたことやボスティック米アトランタ連銀総裁が「金利は十分に景気抑制的で、これ以上の追加利上げが必要になるとは思わない」と発言したことから、10月10日のニューヨーク外為市場でドル・円は148円17銭まで下落した。しかしながら、11日発表の9月生産者物価指数と12日発表の9月消費者物価指数は市場予想を上回ったことから、米長期金利は上昇し、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となった。ドル・円は一時149円83銭まで買われた。イスラエル軍は12日、国連に対してガザ地区北部の住民は24時間以内にガザ地区南部に退避すべきと通告したとの報道を受けてリスク回避のドル売りが観測されたが、ドル・円は149円台を維持した。
13日のニューヨーク外為市場でドル・円は、149円45銭まで下落後、149円73銭まで買われた。この日発表された10月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回り、米長期金利は低下したものの、中東情勢の緊迫化を意識して一部で安全逃避的なドル買いが観測されており、ドルは底堅い動きを保った。ドル・円は149円56銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:148円17銭-149円83銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、FRB議長発言を注視へ
来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ観測は後退したものの、10月19日に行われるパウエルFRB議長の講演でインフレ抑制の方針を強調した場合、ドル売りは抑制されそうだ。米企業決算を受けて株高に振れた場合、リスク選好的な円売りが強まるケースも想定される。今週公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、9月の会合で当局者はインフレ抑止の認識で一致。利下げは遠のいたとみられ、ドルは売りづらい。12日に発表された米消費者物価指数(CPI)ではインフレ高止まりが裏付けられた。ただ、10月31日-11月1日開催の次回FOMCに向け、政策金利据え置きの予想が高まっている。今後、12月の利上げ観測がさらに後退した場合、リスク選好的なドル買いは縮小する可能性がある。
来週発表予定の経済指標について、9月小売売上高は前回実績を下回る可能性があるが、10月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は改善が見込まれており、強弱まちまちの内容となりそうだ。ただ、いずれも市場予想を下回った場合、追加利上げ観測は大幅に後退し、ドルは弱含む展開とみられる。なお、中東情勢の一段の悪化はリスク選好的な円売りを抑制するとの見方が依然として多いようだ。
【米・9月小売売上高】(17日発表予定)
17日発表の米9月小売売上高は前月比+0.3%と、前回実績の+0.6%を下回る見通し。金融引き締め政策を支える材料にはならず、米金利安・ドル安につながる可能性がある。
【米・10月フィラデルフィア連銀景況調査】(19日発表予定)
19日発表の10月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は-6.4と、前月の-13.5から改善が見込まれている。マイナス継続も、景況感の回復が好感された場合、追加利上げ期待のドル買いに振れやすい。
予想レンジ:148円50銭-151円00銭
《FA》