米国株式市場見通し:主要企業決算やパウエルFRB議長講演に注目
本格化する主要企業決算に引き続き注目だ。また、FRBのパウエル議長がNYエコノミッククラブでの講演を予定しており、年内の利上げの可能性を見極めたい。FRBはまた、次回FOMCの金融政策決定の材料となる地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表予定で、内容にも注目だ。さらに、来週発表される9月小売売上高で予想通り伸び鈍化が確認できれば年内の追加利上げ観測も後退し相場支援材料になるだろう。
最新の雇用統計で雇用の伸びが予想のほぼ倍に拡大するなど、労働市場が減速している兆候があまり見られない。経済や雇用が予想以上に強く、高インフレも長期化するとの見通しを背景とし国債相場は急落。10年債利回りは急伸し、2007年以来で最高水準に達する勢いとなるなど激しい動きを受けて、FRB高官は金融政策が十分に引き締まった可能性を指摘、FRBの利上げ終了期待も強まりつつある。もし、パウエル議長が一部高官と同様に最近の長期債利回りの急伸が金融市場の引き締まった証拠で、金融政策が十分に景気抑制的水準、あるいは近づいたとの見解を示した場合、利上げ終了期待が強まり、相場を押し上げるだろう。
しかし、FRBが注視している住宅を除いたコアサービス価格は逆に1年ぶりの大幅な伸びを示しており、インフレ制御は容易ではなさそうだ。勝利宣言にはまだ長い道のりと繰り返す可能性が強いと見られ、相場にとり引き続きマイナス材料になりそうだ。そのほか、中東情勢が一段と緊迫化する可能性もリスクだ。また、共和党下院は議長選出に苦戦しており、政局混乱も引き続き上値を抑制する一因になるだろう。
経済指標では、10月ニューヨーク連銀製造業景気指数、9月月次財政収支(16日)、9月小売売上高、9月鉱工業生産・設備稼働率、8月企業在庫、10月NAHB住宅市場指数、8月対米証券投資(17日)、9月住宅着工件数・許可件数(18日)、週次失業保険申請件数、10月フィラデルフィア連銀連銀景況指数、9月中古住宅販売(19日)、などが予定されている。なお、FRBは18日に地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表予定。
主要企業決算では、金融でオンライン証券のチャールズ・シュワブ(16日)、銀行のバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス(17日)、モルガンスタンレー(18日)、へルスケアのジョンソン・エンド・ジョンソン(17日)、動画配信のネットフリックス、消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル、電気自動車メーカーのテスラ(18日)、鉄道会社のCSXやユニオン・パシフィック、通信のAT&T(19日)、などが予定されている。
チャールズ・シュワブは3月の中堅行破綻以降、資産の減少に直面しており、警戒だ。
消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブルは高インフレの中、消費の鈍化がリスクになるだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》