米国株式市場見通し:主要ハイテク企業決算やGDPに注目
来週は主要ハイテク企業決算に注目だ。また、引き続き金利動向に敏感な商状が予想される中、FRBの今後の金融政策を左右する重要な経済、インフレ指標となる7-9月期国内総生産(GDP)速報値や9月PCEコア価格指数なども注目材料だ。
金利先高観と同時に、中東情勢の緊迫がさらに深刻化する可能性はリスクだ。イエメンの親イラン武装組織「フーシ派」がイスラエルに向け発射したミサイルを米艦艇が追撃したが、イラク、シリアなどを巻き込み戦闘拡大の可能性がリスクになるだろう。地政学的リスクの上昇で、航空会社や旅行関連の需要が制限されることになりそうだ。さらに、バイデン大統領がウクライナ、イスラエル、台湾支援など大規模支援を議会に承認を求める中、共和党は依然下院議長選択できず、政局混乱も依然リスクだ。
FRBのパウエル議長は今週の講演で、長期債利回りの上昇で利上げの必要性が低下する可能性に言及したものの、リスクが依然高インフレだと主張。中立的な姿勢を示し、追加利上げも完全には除外しなかった。FRBがインフレ指標として注視しているPCEコア価格指数の9月分は一段の伸び鈍化が予想されている。一方、7-9月期のGDPは前期の+2.1%から4%台の成長と21年10-12月期以来の大幅な伸びに跳ね上がる見通し。アトランタ連銀の同期GDP見通しでは5%台の成長が予想されており、もし、予想以上の伸びが確認された場合、景気後退懸念が緩和することは相場支援材料になりそうだ。しかし、同時にパウエル議長は2%のインフレ目標達成には成長が潜在的水準を下回り、労働市場が減速する必要があると言及しており、追加利上げ観測が強まり長期金利が一段と上昇すると、相場の売り圧力になるだろう。
ハイテク決算では高金利や世界のマクロ経済の弱い見通しを背景とした需要の低迷に警戒だ。半導体関連も同市場の低迷が引き続き懸念材料だ。
経済指標では、9月シカゴ連銀全米活動指数(23日)、10月製造業PMI、10月リッチモンド連銀製造業指数(24日)、9月新築住宅販売件数(25日)、9月卸売在庫、7-9月期GDP速報値、9月耐久財受注速報、週次新規失業保険申請件数、9月中古住宅販売仮契約(26日)、9月個人所得・支出、PCEコアデフレーター、10月ミシガン大消費者信頼感指数確定(27日)、などが予定されている。
主要企業決算では、ハイテクでソフトウエアメーカーのマイクロソフト、検索会社グーグルを運営するアルファベット(24日)、ソーシャルメディアのフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(25日)、オンライン小売のアマゾン・ドット・コム、半導体のインテル、金融のキャピタル・ワン・ファイナンシャル(26日)が発表予定。そのほか、電子・電気通信などの3M、飲料メーカーのコカ・コーラ、石油関連のエネルギー、エンジニアサービスのハリバートン(24日)、航空機メーカーのボーイング、油田製品・サービス会社のベーカー・ヒューズ(25日)、メキシコ料理レストラン運営のチボトレ・メキシカン・グリル、メディアのコムキャスト(26日)、ケーブルテレビのチャーター・コミュニケーションズ、消費財メーカーのコルゲート・パルモリーブ、再生可能燃料会社のシェブロン、石油化学メーカーのエクソンモービル(27日)などが発表予定。自動車メーカーではゼネラル・モーターズ(24日)、フォード・モーター(26日)、などが予定されている。
自動車メーカーの今期決算は堅調予想だが、ストの影響がでる第4四半期の見通しには警戒したい。インテルは半導体セクターの弱さが再確認されるかどうかに注目だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》