為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、日本の円買い介入を警戒
【今週の概況】
■米長期金利の上昇を意識してドルは底堅い動きを保つ
今週のドル・円は底堅い値動きが続いた。日本銀行の金融緩和策の早期修正観測が浮上し、10月17日に148円84銭までドル安・円高に振れたが、米国の追加利上げの可能性は消えていないことから、ドルを買い戻す動きが再び活発となった。原油高や米長期金利の上昇を意識したドル買い・円売りも観測されており、週後半にかけてドル・円は主に149円台後半で取引された。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は19日に行われた講演で「インフレは依然高過ぎるため、経済の強さが続けば一段の引き締めが正当化される」との見解を示したこともドル買いにつながった。
20日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時149円99銭まで買われる場面があった。中東情勢の悪化で安全逃避的なドル買いが優勢となった。ただ、米長期金利の上昇が一服したこと、米国株式の続落を意識してドル買い・円売りはやや縮小し、149円86銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:148円84銭-149円99銭。
【来週の見通し】
■ドルは伸び悩みか、日本の円買い介入を警戒
来週のドル・円は伸び悩みか。7-9月期における米国経済の加速が期待されており、連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げの可能性は消えていないことから、日米金利差の拡大を想定したドル買いが続いている。足元の堅調な経済指標は、国内経済が高金利下でも力強さを維持していることを示す。9月小売売上高は想定を上回ったほか、住宅着工件数は前回より強い内容となり、金融引き締め策を後押しする材料となった。パウエルFRB議長など当局者からはインフレ高止まりを受け引き締め継続の必要性が強調され、米10年債利回りは2007年7月以来の高水準に浮上した。
ただ、1ドル=150円台は日本政府による為替介入(円買い介入)が実行される可能性があり、リスク回避的なドル売りが強まりやすい。来週発表の7-9月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+4.0%と、4-6月期の+2%台を大きく上回る見通しだが、重要なインフレ指標である9月コアPCE価格指数は前回実績を下回ると予想され、一段のドル買いを抑制しよう。また、中東情勢の不安定化でリスクオフのムードが強まれば、ユーロ、豪ドル、英ポンドなどに対する円買いが強まり、ドル・円の上値は重くなる可能性がある。
【米・7-9月期国内総生産(GDP)速報値】(26日発表予定)
26日発表の米7-9月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+4.0%と、4-6月期の2%台を大きく上回る見通し。市場予想と一致した場合、引き締め継続期待のドル買い材料になりやすい。
【米・9月コアPCE価格指数】(27日発表予定)
27日発表の米9月コアPCE価格指数は前年比+3.7%と、前回の+3.9%を下回る公算。インフレ抑止が示された場合、追加利上げ期待は後退し、ドル買いを抑える要因に。
予想レンジ:148円00銭-151円50銭
《FA》