【クラファン】東大などと共同研究 血液中のがん細胞を“1個単位”で採取する独自装置 メドリッジ、10月26日募集開始

経済
2023年10月25日 13時40分

血液中のがん細胞を独自技術で採取する装置を扱うメドリッジ株式会社(名古屋市千種区)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは10月26日19時30分開始を予定しています。

・ 普通株式型
・ 目標募集額:1248万円、上限募集額:4000万円
・ 事業会社/CVC出資実績あり
・ エンジェル出資実績あり
・ エンジェル税制あり(優遇措置A)
・ みなし時価総額:3億240万円
・ 類似上場企業:オンコリスバイオファーマ <4588> [東証G]、オキサイド <6521> [東証G]、キャンバス <4575> [東証G]、シンバイオ製薬 <4582> [東証G]、Delta-Fly Pharma <4598> [東証G]
※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算

がん細胞を生きたまま、1個単位で採取

メドリッジ代表の益田泰輔氏は工学博士として、東北大学歯学部で細胞生物学の研究を行うなど、工学と医学の境界にあたる領域で再生医療に関する研究に携わってきました。

その後、名古屋大学ナノライフシステム研究所の新井史人教授(現・東京大学大学院工学系研究科)と、血液中に漂う希少ながん細胞を分離、収集し、分析するために研究を続け、2019年、同氏と名古屋大学発ベンチャー、メドリッジ株式会社を創業しています。

同社は、以下の医療機関や大学と共同研究を行い、がん細胞を生きたまま、1個単位で採取できる装置「レアセルソーター」を開発。これにより、体への負担を最小限に抑え、定期的に検査を行うことで、リアルタイムにがん転移の進行を把握することができるそうです。

【提携・共同研究先】

東京大学

筑波大学

藤田医科大学

名古屋大学

国立がん研究センター

また、同社はこれまで、JST大学発新産業創出プログラムやAMED先進的医療機器・システム等技術開発事業など、4億円超の研究補助金の採択実績もあるといいます。

同社は、CTC(Circulating Tumor Cells:血液中を移動し、がん転移を引き起こす腫瘍細胞)というがん細胞に着目。CTCは血液中にごく微量しか含まれていないため、従来の検査方法では検出が難しく、精度に課題がありましたが、同社の細胞分取装置は、約60億個とも言われる血液中の細胞の中からCTCを生きたまま傷つけることなく、1個単位で採取可能だといいます。

「1個単位で採取できることによって、純度の高い細胞を得ることができ、正確な検査が可能となります」(同社)

「レアセルソーター」の基となった技術は、国立大学法人東海国立大学機構が日本だけでなく欧米でも特許を取得。この特許技術について、同社は独占実施許諾契約を結んでおり、今後も装置のアップデートをしていきたいとしています。

体への負担が少なく、高い精度が期待できるCTC検査

同社によると、がん組織を摘出して検査する場合、患者の体に負担がかかるため、繰り返し検査を行うことは難しく、進行を続けるがんの状況をリアルタイムで観察することができないといいます。

【タイトル】

(出典:FUNDINNO)

一般的に、内視鏡や手術によって細胞を採取する「組織生検」は検査精度が高い一方、体への負担が大きく、繰り返し検査を行えないという問題があるそうです。

そこで、リキッドバイオプシーという、体への負担をできるだけ軽減した検査技術が確立されており、これは、血液や尿などの液体サンプルを用いて、がん細胞の情報を解析するため、体への負担を最小限に抑えられるといいます。

しかし、体内におけるがん細胞は不均一で治療中に変化することもあるため、この方法は感度(陽性を正しく陽性と判断する確率)や特異度(陰性を正しく陰性と判断する確率)の点に課題があるそうです。

そこで、同社は、血液中に含まれるがん細胞であるCTCを用いた方法に着目したといいます。

CTC検査は体への負担が少ないほか、組織生検と同様に細胞そのものを使うため、高い精度が期待できると注目されているそうです。同社はCTC検査によって、がんの転移や、がん細胞の情報を正確に把握できれば、がんで亡くなる人を大幅に減らせるはずだと考えています。

【タイトル】

(出典:FUNDINNO)

がん転移をリアルタイムに把握、一人一人に最適な治療を

同社は、血液中から微量なCTC(がん細胞)のみを分離し、約60億個ある細胞の中からCTCを生きたまま、1個単位で採取する装置「レアセルソーター」を開発。同装置に採用している細胞分離技術は日本、欧米で特許を取得しています。

「レアセルソーター」は、CTCのサイズが他の細胞よりも大きい性質を利用し、マイクロピラー(サイズの大きな細胞を引っ掛けることができる直径18μmの支柱)によって分離しています。

従来の採取技術は採取する際に細胞を傷つけたり、生きたまま採取したりすることが難しいという課題がありましたが、「レアセルソーター」はCTCを傷つけることなく採取できるそうです。

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(出典:FUNDINNO)

また、感度や特異度についても、従来製品よりも優位性があるといいます。

がんは進行状況や悪性度によって効果的な薬が異なるため、進行状況を正確に把握できなければ、効かない薬を飲み続けてしまうケースもあり、一般的に薬は細胞に合わせて処方されるため、常にリアルタイムでがん細胞を検査することが重要だといいます。

同社は自社の技術について、一度がんに罹患して治療中の人に有効だとしています。がんは摘出手術を行っても、その後、別の部位に転移する可能性がありますが、がん転移の進行をリアルタイムに把握することで、医療機関が一人一人に最適ながん治療を提案することが可能になると同社は考えています。

また、生きたままCTCを採取できるため、遺伝子変異の解析やがん細胞そのものの培養もできる上、クラスターという塊を形成したCTCは、がんの転移や予後に影響していると報告されており、そのまま採取できる同技術は、このようなクラスターの解析にも貢献できるとしています。

今後は「レアセルソーター」装置本体の販売のほか、自社でのCTC解析の受託サービスや、検査機関への、マイクロピラーを利用した独自のチップの販売も行っていく予定です。

「ビジネスモデル」「競争優位性」「販売戦略」

【ビジネスモデル】

同社は、「レアセルソーター」を導入する可能性のある医療機関・研究機関は国内外で1500カ所以上と試算しています。1台数千万円で装置本体の販売を促進し、検査に使用するチップも1枚数万円で販売する計画です。

現在、藤田医科大学とCTCの培養に関する共同研究を行っており、消耗品のチップを有償で販売しています。

また、CTCのサンプル数が徐々に集まる2024年以降、検査会社に対して装置とチップの販売を行い、医療機関や製薬会社に対して、解析結果を提供できるスキームを構築したいと考えています。

将来的には、製薬会社との共同研究によって、PMDA(医薬品医療機器総合機構)やFDA(米食品医薬品局)の承認を目指し、米欧に向けての販売も視野に入れています。

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(出典:FUNDINNO)

【競争優位性】

同社は、国立がん研究センターや藤田医科大学、筑波大学との共同研究を進めており、がん研究の最先端機関と共同研究を進めている点は強固な優位性だと考えています。

さらに、代表の益田氏と共同創業者の新井氏はマイクロ・ナノレベルの微細加工技術やロボット、システム化技術などのエンジニアリングにフォーカスした経歴があり、こうした工学の知見は医療分野の発展に求められていると見ています。

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(出典:FUNDINNO)

【販売戦略】

同社は、研究機関向けのビジネスを展開していく中で、国内外の医療機関や大学との共同研究をさらに増やし、PoC(アイデアの実現可能性を見極める概念実証)案件を獲得していきたいと考えています。多くの機関と共同研究をすることで臨床データを取得し、医療機器として「レアセルソーター」が承認されるよう取り組んでいく予定です。

また、受託検査会社との協業も視野に入れており、現在、複数の受託検査会社とコンタクトを取っているため、今後、CTC検査において「レアセルソーター」が必需品となるよう、医療機関にアプローチしていきたい考えです。

FDAに関しては、同社がベンチマークとしている英国A社が先行して承認を得ており、同様の適切なプロセスを踏むことで承認を得られると見込んでいるほか、PMDAからも好意的な反応があるといいます。

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(出典:FUNDINNO)

今後の成長に向けて

(1)β版提供後に量産機を販売、PMDA・FDA承認を目指す

直近は研究機関や受託検査会社に向けて「レアセルソーター」β版の販売を計画しています。さらに、研究用途向けの採取サービスを開始して多くの臨床データを取得し、さらなる研究開発に生かしていきたい考えです。

また、2026年に米国拠点を開設し、臨床性能や安全性の試験を行うほか、FDAの承認申請を行う計画です。将来的にはPMDAとともに医療機器として承認を得ることで、がんスクリーニングにおけるCTC検査に「レアセルソーター」を活用してもらえる体制を構築していくとしています。

(2)約5000億ドル市場を見据えてサービスを拡充

近年、CTC検査市場は再成長しており、世界市場は2021年の約40億ドルから、2032年には約408億ドルに成長すると言われているそうです。

同社はCTC検査市場だけでなく、がん治療の新薬開発や、がん細胞以外を1細胞単位で分取する技術など約5000億ドルの巨大なマーケットに挑戦していくとしています。「そして、がんで亡くなる方を大幅に減らせる世界を目指し、研究開発を進めていきたいと考えています」(同社)。

(3)将来的なExitはIPOを想定

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(出典:FUNDINNO)

(4)2030年に「レアセルソーター」約60台の販売を計画

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(出典:FUNDINNO)

株主構成

同社は、以下の事業会社およびエンジェル投資家より出資を受けています。

・日本戦略投資株式会社

・新CTS合同会社

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・オンコリスバイオファーマ <4588> [東証G]

・オキサイド <6521> [東証G]

・キャンバス <4575> [東証G]

・シンバイオ製薬 <4582> [東証G]

・Delta-Fly Pharma <4598> [東証G]

発行者・募集情報

■募集株式の発行者の商号及び住所、資本金等

メドリッジ株式会社

名古屋市千種区不老町1番地

資本金:9,990,000円(2023年10月3日現在)

発行済株式総数:7,560株(同)

発行可能株式総数:150,000株

設立日:2019年1月23日

決算日:6月30日

■募集株式の発行者の代表者

代表取締役 益田泰輔

■募集株式の種類及び数(上限)

普通株式 1,000株

■募集株式の払込金額

1株あたり 40,000円

■資金使途

・目標募集額達成時の資金使途内訳

調達額1,248万円を以下の目的に充てる予定。

人件費 323万円

研究開発費 650万円

手数料 274万円

・上限募集額達成時の資金使途内訳

上記に追加し、調達額2,752万円(目標募集額1,248万円と上限募集額4,000万円との差額)を以下の目的に充てる予定。

海外進出関連費用 2,146万円

手数料 605万円

■投資金額のコース及び株数

80,000円コース(2株)

160,000円コース(4株)

240,000円コース(6株)

320,000円コース(8株)

400,000円コース(10株)

480,000円コース(12株)

800,000円コース(20株)

1,600,000円コース(40株)

2,400,000円コース(60株)

3,200,000円コース(80株)

4,000,000円コース(100株)

4,800,000円コース(120株)

5,600,000円コース(140株)

6,400,000円コース(160株)

7,200,000円コース(180株)

8,000,000円コース(200株)

8,800,000円コース(220株)

9,600,000円コース(240株)

※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、480,000円コース(12株)までしか申し込みできない。特定投資家口座からの申し込みの場合、9,600,000円コース(240株)を上限とする。

■申込期間

2023年10月26日~11月10日

■目標募集額

12,480,000円(上限募集額 40,000,000円)

※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は32,000,000円とする。

■払込期日

2023年12月5日

■連絡先

メドリッジ株式会社

電話番号:03-6801-5690

メールアドレス:support@medridge.co.jp

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。

〈東大、国立がん研等と共同研究〉患者の負担少なく、がん細胞を1個単位で生きたまま採取。医療機関向けの高精度ながん細胞検査機器ベンチャー「メドリッジ」

【タイトル】

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