ツイッター買収から1年、融資の銀行団は債権売却できず

市況
2023年10月25日 23時03分

マスク氏が旧ツイッターを440億ドルで買収した際に資金提供した銀行団は、2022年10月27日の買収完了から1年を迎える現在もバランスシートへの打撃を抑えるのに苦心している。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係者の話として伝えた。

モルガン・スタンレー<MS>とバンカメ<BAC>、英バークレイズなど計7行は、ツイッターの買収資金として130億ドルをマスク氏に融資した。通常であれば、銀行はすぐに債権を投資会社に売却するはずだった。しかし、マスク氏による買収後、社名が「X(エックス)」に変更されたツイッターに対する投資家の需要は後退し、銀行は債権を割引価格でバランスシート上に抱え込むことを余儀なくされている。

銀行が債権を売却するとなれば少なくとも15%、金額にして約20億ドルの損失を被るとみられている。融資額が大きいモルガン・スタンレーとバンカメ、バークレイズ、三菱UFJ(MUFG)は数億ドル規模の損失を被る恐れがあるという。フランスのBNPパリバとソシエテ・ジェネラル、みずほ銀行もマスク氏に資金を提供。

コーポレートファイナンスの世界では永遠にも等しい1年という期間に渡って債権を保有している銀行は、先月4日のレーバーデー前の売却を目指していた。関係者によると、現在では一部だけでも手放すための準備を進めている。

債権売却にはまず、格付け会社からの格付けを取得する必要がある。Xが低格付けを受ければ、銀行にとっては想定を上回る損失を出さずに債権を売却することは困難となる。

関係者によると、マスク氏の気まぐれな経営と広告事業の低迷を背景に、Xの格付けはデフォルト(債務不履行)リスクが高いことを意味するジャンク級となる可能性がある。マスク氏自身が昨年の買収後にXは倒産の危機にあると語っていた。

買収前のツイッターは今より負債が大幅に少なかったにもかかわらず、ジャンク級の格付けを受けていた。現在のXは株式非公開企業のため財務状況は公表されないが、マスク氏は買収後に広告収入が激減したと明かしている。

Xへの融資は銀行に大きな手数料収入をもたらすはずだった。しかし、実際には売却できない債権が融資事業の重荷となっており、各行の投資家からも疑問の声が上がっている。

銀行は常に引き受けるリスクの程度を一定以下に抑えているため、Xの債権を抱え続ければ、他への割り当て可能な融資が圧迫されることとなる。

出所:MINKABU PRESS

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.