ESG最前線レポート ─「企業の先見性に投資する」

市況
2023年11月25日 11時00分

第26回 「企業の先見性に投資する」

●「国際プラスチック条約企業連合(日本)」が発足

2023年11月、プラスチックごみによる汚染の根絶をめざす国際プラスチック条約の制定に向けて、「国際プラスチック条約企業連合(日本)」が国内10社で発足しました。

「国際プラスチック条約企業連合」は、2022年9月にサーキュラーエコノミーを推進するエレン・マッカーサー財団とWWF(世界自然保護基金)の呼びかけで発足したグローバルな企業連合で、プラスチックのバリューチェーンに関わる企業や金融機関、NGO(非政府組織)など160以上の団体が参加しています。

この企業連合は、廃棄プラスチックによる汚染を阻止するための野心的な国連条約の締結を共同で求めており、2024年末を目途に多国間の条約交渉が終了するまで活動を継続する予定としています。日本の企業連合も発足当日、日本政府に対して「法的拘束力のある野心的な条約」を求める、との声明を発表しました。

●プラスチックをめぐる動き

昨今のプラスチック問題への関心の高まりを受け、関連企業ではプラスチック製の製品や容器包装の使用量を削減したり、環境負荷の低い原料に変更したりするなど、様々な取り組みが行われています。

日本のある航空会社は、機内食で使用するプラスチック製のカトラリーやマドラーを木製のものへ、ストローはバイオプラスチック製のものへと変更しました。そして、2021年からは日本の航空会社としては初めて、国際線エコノミークラス機内食の主菜容器をプラスチック製からバガス(サトウキビの絞った後の繊維)素材に変更しました。同社ではこれらの取り組みを推進し、2050年までに資源類の廃棄率をゼロにすることをめざしています。

容器自体を食べられるようにすることで、ゴミの削減に貢献している企業もあります。紙製のストローを開発した企業が耐水性の問題に直面したように、同社も強い耐久性を持つ食べられるトレーの開発には苦労したようですが、現在は食べられる箸も開発しており、今後はフォークやスプーンなども順次開発するとしています。まさに脱容器を実現する取り組みです。

●プラスチック使用量削減の企業に注目

国連環境計画(UNEP)の報告書によると、日本はアメリカに次いで世界で二番目に一人あたりの使い捨てプラスチックの廃棄量が多いと言われています。しかし、ここで述べたような企業の技術開発は、私たち個人の意識やライフスタイルの変容を促してくれるものです。そして、私たちがその製品やサービスを積極的に利用することにより、プラスチック使用量を減らし、持続可能な社会を構築することに貢献することができます。

国際条約が制定されれば、プラスチックに対するより厳しい規制が行われることになるでしょう。実際、「国際プラスチック条約企業連合(日本)」は、経済的手法や財政的インセンティブの導入、監視および報告体制の構築、大企業、多国籍企業および金融機関によるプラスチック関連の情報開示の義務付け等を視野に入れています。

これまでも、様々な国際規制に企業は対応してきましたが、こうした社会の流れに先んじて取り組む企業に今後の成長性があると見ています。

情報提供:株式会社グッドバンカー

(2023年11月21日 記/次回は2024年1月3日配信予定)

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