市場とFOMC委員との差が浮き彫りに その中でのパウエル議長の発言!
きょうはパウエルFRB議長の発言が予定され、本日の最注目イベントとなっている。議長はジョージア州アトランタにあるスペルマン・カレッジを訪問し、イベントに参加。このあと日本時間1時と4時の2回予定されており、1時は同カレッジの学長とのディスカッション、4時のパネルディスカッションはクックFRB理事も参加するが、そこでは地元金融機関からの質問などに返答する形となっている。注目は1時の回のほうであろう。
このところFRBの政策を巡って、市場とFOMC委員との見解の差が浮き彫りになっている。市場は一貫して利上げサイクルはすでに終了、来年の利下げ開始を見込んでいる。しかし、FOMC委員はインフレに対する慎重姿勢を崩しておらず、インフレとの闘いで早過ぎる勝利宣言へのリスクをなお強調している。
今週はFOMC委員の発言が多数伝わり忙しい週となった。一部の委員からハト派的な発言も出て、市場は敏感に反応し、来年の利下げ期待をさらに高める場面も見られていた。やや行き過ぎとも思われる。来週から、次回のFOMCを控えてFOMC委員が発言を控えるブラックアウト期間に入る。その意味ではきょうのパウエルFRB議長の発言は締めくくりとも言える。
今週のFOMC委員の発言は様々だったが、「利下げの議論は時期尚早」という点では意見が一致していた。パウエル議長がこの点に触れてくるかどかはわからないが、恐らく利下げの議論は否定してくると見られている。利下げという言葉すら口にしない可能性さえある。ただ、それについては市場も想定しているであろう。
最新の経済指標は、第4四半期の景気減速、労働市場の冷え込み、インフレ鈍化を示唆している。そのような中で市場は、パウエル議長が「追加利上げの用意がある」などといった、想定以上にタカ派なメッセージを繰り返さないか心配そうに見守っているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美