ステップ Research Memo(1):横浜・川崎エリアのシェア拡大により中長期的に安定成長が続く見通し

特集
2023年12月28日 11時21分

■要約

ステップ<9795>は神奈川県内で小学5~高校3年生を対象とした学習塾「STEP」を展開している。教師のプロ化による質の高い学習指導力に定評があり、高校受験においては「トップ校」と呼ばれる県内公立進学校(19校)の合格者数で、2位の学習塾を2倍以上引き離し独走状態にある。2023年9月末の校舎数は小中学生部門142スクール、高校生部門15校、個別指導部門1校のほか、学童保育部門「STEPキッズ」4校及び2022年4月に新設した「ステップジュニアラボ」1校の計163校(前期末比5校増)を展開し、在籍生徒数は3万人を超える。

1. 2023年9月期の業績概要

2023年9月期の業績は、売上高が前期比5.8%増の14,442百万円、営業利益が同12.7%減の3,192百万円とほぼ会社計画(売上高14,534百万円、営業利益3,127百万円)どおりに着地した。売上高は小中学生部門、高校生部門ともに生徒数が着実に増加したことに加え、前期から適用となった新収益認識会計基準等が312百万円の押し上げ要因となり3期連続増収、過去最高売上を更新した。期中平均生徒数は前期比3.1%増(小中学生部門2.7%増、高校生部門5.2%増)となった。大学受験で総合型選抜入試(AO入試)を利用する生徒が増加し、高校生部門で苦戦する競合塾が多いなか、教務力の高さが評価され引き続き増加基調が続いている点は注目される。新規開校は、小中学生部門で4スクール、学童保育部門で1校となった。営業利益は2023年5月に公表した新たな経営方針により、人件費や学習環境の整備費用が大幅増となったことで減益となったが、安定した成長基盤を構築するための先行投資と位置付けている。

2. 2024年9月期の業績見通し

2024年9月期の業績は売上高で前期比3.1%増の14,892百万円、営業利益で同4.6%増と増収増益を見込む。2023年10月末時点の生徒数は前年同期比2.5%増と堅調に推移しており、2024年9月期も着実な増加を見込んでいる。新規開校は、小中学生部門で4スクールが決まっている。営業利益は人件費が引き続き増加するものの、前期に実施した学習環境の整備費用が一巡することもあり増益に転じる見通し。なお、物価上昇により授業料の見直しを行う学習塾が増えているが、同社は授業料を据え置く方針であり、2024年春の新規生徒獲得シーズンにおいても堅調な募集状況になることが予想される。

3. 今後の成長戦略

成長戦略として、小中学生部門はシェア拡大余地のある横浜、川崎エリアを中心に年間3~4校ペースでスクールを開校し、安定成長を目指す。横浜・川崎エリアにおける同社の生徒数シェア※を現状の8%から15%※に引き上げることで生徒数は1.34倍まで拡大できる余地がある。スクール数で換算すると横浜市で25スクール、川崎市で15スクール前後の開校余地があり、今後10年程度かけて展開することになる。高校生部門ではブランド力がここ数年で高まっており、既存校舎の増床・移転と教師の増員を図りながら着実な成長を目指す。学童保育部門についても既存教室が好評なことから、将来的に県内全域に展開することを視野に入れている。以上から、少なくとも今後10年程度は1ケタ台の増収増益が続くと弊社では予想している。

※生徒数シェア=圏内における公立中学校に通うSTEP生÷公立中学校生徒数

4. 株主還元策

株主還元策として、配当金は配当性向50%を目安に行うこととし、2023年9月期の通期配当金は2022年9月期比26.0円増配の72.0円(配当性向49.4%)と大幅増配を実施した。また、2024年9月期の1株当たり配当金は2023年9月期比2.0円増配の74.0円(配当性向49.4%)を予定している。また、株主優待制度として毎年9月末の株主に対して保有株式数と継続保有期間に応じてオリジナルQUOカード(500~4,000円分)を贈呈している。また、自己株式取得についても実施中である(2023年11月1日~2024年9月末、上限取得株式数100万株、取得額19億円)。

■Key Points

・2023年9月期業績は人的資本投資等の実施により減益となるも売上高は過去最高を更新

・2024年9月期は生徒数の着実な増加により1ケタ台の増収増益となる見通し

・横浜・川崎エリアの中学生部門の生徒数シェア15%を目標に校舎展開を進め、着実な増収増益を目指す方針

・配当性向50%を目安に配当を行う方針、自己株式取得も実施中

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《AS》

提供:フィスコ

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