来週の株式相場に向けて=新年に89年最高値更新はあるか
大納会となった29日の日経平均株価は前日比75円安の3万3464円で取引を終えた。年間を通じて日経平均株価は7369円の上昇となり、上昇率は28.2%と13年(56.7%)に続く大幅高を演じた。7月には1990年3月以来の水準まで値を上げる場面もあった。
24年は「辰年」となる。「辰巳天井」とは言うが、辰年だけを取り上げれば十二支のうち、過去のデータからは最も高パフォーマンスの年となるようだ。新年の注目テーマは、国内では「日銀のマイナス金利解除」はいつかだろう。また、海外では米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが、いつどのように実施されるかが注目される。更に11月の米大統領選でトランプ氏の返り咲きがあるかは、最大の注目ポイントとなりそうだ。
24年も、今年同様に波乱要素の大きな状況が予想されるが、東京株式市場の状況は長期的な好転を示していることは見逃せない。まず、長きにわたった日本のデフレに終息が見えてきた。企業は値上げによる利益適正化を図り、収益は拡大基調にある。また、「PBR1倍割れ」の是正や「親子上場の解消」などが進められ、株式市場からみた企業価値が向上したことは大きなポイントだ。
では、新年の日経平均株価の上値はどこまであるか。市場には、1989年につけた3万8915円の最高値を更新し4万円近辺を予想する見方もある。足もとの株価からは17%程度の上昇で89年高値を抜くだけに、34年ぶりの最高値更新はもはや現実味を帯びた話となっている。ただ、アナリストからは「新年度の日経平均株価ベースの一株当たり利益(EPS)の伸びは6%前後の予想。PER15倍前後を前提とすれば3万5000円前後が新年の高値ではないか」との見方も出ている。言い換えれば、EPSが市場予想を超えて増加し、PER16倍前後まで日本株が買われれば日経平均の最高値更新もあり得るということだ。
24年からは新NISAも始まる。新規資金の流入期待も高まるなか、東京エレクトロン<8035>やレーザーテック<6920>といった半導体関連株のようなグロース株に限らず、JT<2914>やみずほフィナンシャルグループ<8411>のような高配当利回りのバリュー株の双方が買われる相場が予想されている。
1月1週は、東京市場は4日が大発会。5日に12月マネタリーベースや同消費動向調査が発表される。海外では、1日は各国が新年の休場。3日に米12月ISM製造業景況指数、米11月JOLTS求人件数が発表され、12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録も公表される。5日に注目の米12月雇用統計が発表される。米12月ISM非製造業景況指数の公表も予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは3万3000~3万3800円前後。(岡里英幸)