ヒートテックで9年ぶりに高値を更新　ファーストリテイリング⑥―Buy&Hold STORIES―

ファーストリテイリング<9983>
第2章Part3

• 第1章　地方紳士服店がフリースブームを巻き起こすまで
  • 1.広証上場、初値は公募価格の2倍1994年7月15日342円
  • 2.裏目に出た積極姿勢、5分の1になった株価1998年6月22日87円
  • 3.そしてブレイクの時は来た、株価は2年半で60倍に2000年11月7日5366円
• 第2章　「しょせんブームに過ぎなかったのか？」～迷走と試練の日々
  • 4.「ユニばれ」で人気絶頂から奈落へ2002年3月1日756円
  • 5.世代交代と電撃復帰と2005年9月1日2870円
  • 6.» ヒートテックで9年ぶり高値更新2009年10月27日5373円
• 第3章　「私たちが売るのはLife Wear」　世界企業への道
  • 7.LifeWear、地球人全員に売る服を2015年7月3日20656円
  • 8.伸びゆく海外売上高2020年3月19日13303円
  • 9.パンデミック、米中対立を乗り越えて2023年6月19日37550円
  • 10.初値1万4900円、累計配当9万7760円の軌跡2023年12月1日37930円

Part3：ヒートテックで9年ぶりに高値を更新

柳井社長復帰からヒートテックブームによる高値更新まで

柳井の社長復帰で本格化した"第二の創業"への道

物議をかもした柳井の社長復帰劇。当時の柳井の様子について、『週刊ダイヤモンド』（2010年5月29日号）は、柳井と親しい小売業の経営者の談話をこう伝えている。

「玉塚社長時代は、柳井さんは努めて口を出さないようにしていたが、ストレスで顔色も悪かった。それが社長に復帰すると瞬く間に元気を取り戻していった」

のちに、社長交代劇の模様を聞かれた玉塚も「柳井さんは、僕に世界へ飛躍するような大胆な絵を描いてもらいたかった。それに関してはまったくできなかった」（『週刊東洋経済』2014年11月22日号）と柳井の決断に理解を示す発言をしている。

とにもかくにも、再び名実ともに同社の陣頭指揮を執ることになった柳井は、自身が掲げた"第二の創業"を実践するために再び強力なリーダーシップを発揮していった。「保守化しつつある」と危機感を感じていた社内の構造改革を進めるとともに、2010年に売上高1兆円の目標を達成するために、矢継ぎ早に、様々な施策に取り組んでいく。中でも特に注力したのは、SPA（製造小売り）システムの再強化と、一度は不調に終わった海外進出への再挑戦だった。