EU、トランプ氏との貿易戦争見据え対応の協議開始と伝わる
EUは11月の米大統領選でトランプ氏が勝利した場合、EUを襲う可能性のある措置にどう対応するかについて域内で協議を開始した。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。
前大統領のスタイルはますます攻撃的になっており、加盟国の間ではもう1期続けばEUに関税のような強制的な措置がとられると受け止められている。EU各国は来るべき事態に備える必要があるという。
トランプ大統領のチームがEUに対する潜在的な行動の数々を計画しているとの報道が伝わっていたが、これには最低10%の関税のほか、暗に米国のIT企業の最大手を狙う欧州のデジタルサービス税への対抗措置も含まれる可能性があると伝えていた。
前回、トランプ氏は世界貿易機関(WTO)を攻撃。欧州の安全保障に疑問を呈し、ブリュッセルを「地獄の穴」と呼んだ。1月の世論調査によると、トランプ氏は共和党の予備選の最初の2回で勝利を収め、2024年の選挙を左右するであろう重要な7つのスイング州でも、バイデン大統領を平均で6ポイントリードしている。
トランプ前大統領が就任1期目に米国家安全保障上の懸念を理由にEUの鉄鋼とアルミニウムに課した関税を巡り、米欧はいまだに対立している。EUは独自の対抗措置で報復し、2021年にはバイデン大統領と一時休戦に達した。
EUは現状でも不公平だと主張しており、EU域内の輸出業者は年間3億5000万ドル以上の関税を支払っているという。しかし、EU加盟国は、トランプ氏の選挙に有利になるのではとの懸念から、米製品への関税再課税には消極的になっているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美