為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、日銀緩和継続の思惑残る
【今週の概況】
■日銀緩和継続で円売り強まる
今週のドル・円は強含み。複数の地区連銀総裁が年内数回の利下げが行われる可能性があると指摘したこと、米商業用不動産市場の低迷によって、一部金融機関が一段のストレスにさらされるとの懸念が高まり、リスク選好的なドル買い・円売りは一時縮小した。しかしながら、日本銀行の内田副総裁は講演で「2%の物価目標が実現する確度は少しずつ高まっているが、マイナス金利政策を解除しても緩和的な金融環境は維持していく」との考えを示したことを受けてリスク選好的な米ドル買い・円売りが再び活発となった。イエレン米財務長官は銀行システムへのシステミックリスクにはならないとの考えを示しており、米長期金利は反転したこともドル買い材料となり、ドル・円は149円台半ばまで買われた。
9日のニューヨーク外為市場でドル・円は149円53銭まで買われた後、149円02銭まで下落した。この日発表された米消費者物価指数(CPI)の年次改定値で12月分が下方修正されたため、インフレ鈍化によって年内の利下げは正当化されるとの見方が強まり、リスク回避のドル売りが一時優勢となった。その後、米長期金利が反転したことを受けてドル売りは縮小。149円28銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:147円63銭-149円58銭。
【来週の見通し】
■ドルは下げ渋りか、日銀緩和継続の思惑残る
来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)は今後の利下げについて大筋で見解は一致するものの、一部のメンバーは早急な利下げについて否定的な見方を伝えている。パウエルFRB議長は3月の利下げ開始には否定的であるため、市場参加者の大半は利下げ開始が5月以降になると考えている。2月13日に発表される1月米消費者物価コア指数は前年比+3.7%と前回を下回る見通し。また、15日発表の1月米小売売上高は前月比+0.1%と、前回の+0.6%を下回る見通し。これらの経済指標が市場予想と一致した場合、5月利下げの思惑が強まりそうだ。
一方、日本銀行は3月以降にマイナス金利を解除する公算も、その後の政策方針が注目される。日銀植田総裁と内田副総裁は政策金利の引き上げに慎重で、緩和的な政策運営が長期間続く可能性があるため、日米金利差の早期縮小観測は後退しており、目先的にドル・円は底堅い動きを保つ可能性がある。
【米・1月消費者物価コア指数】(13日発表予定)
13日発表の1月消費者物価コア指数(コアCPI)は前年比+3.7%と鈍化が見込まれており、市場予想と一致した場合、インフレ緩和を意識したドル売りが強まる可能性がある。
【米・1月小売売上高】(15日発表予定)
15日発表の1月小売売上高は前月比+0.1%と、伸び率は12月実績の+0.6%を下回ることが予想されている。市場予想を下回った場合、個人消費の弱さが意識され、金融緩和を正当化しよう。
予想レンジ:147円50銭-151円50銭
《FA》