米国株式市場見通し:FOMC議事録や小売・エヌビディア決算に注目
来週は引き続き利下げの行方を巡る憶測に上下する相場になりそうだ。連邦準備制度理事会(FRB)が基調的なインフレを判断する上で重要視している個人消費支出(PCE)コア指数の発表(2月29日)や3月初旬に控えているパウエル議長の議会証言まで、経済指標などを材料にした利下げペースの思惑に左右されるだろう。
FRBは1月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表予定で、利下げペースを判断する上で注目したい。FRBは1月FOMCで政策金利を4会合連続で据え置き、インフレの改善を認識しているものの、利下げにはさらなるデータでディスインフレ基調を確信する必要がある、と慎重な方針を表明しており、その見解に達した詳細が議事録で明らかになる。
年初は、FRBが早くて3月にも利下げを開始、年内6回の利下げを織り込み株式相場を支援してきた。しかし、1月FOMCの結果や最近の強い雇用や経済指標、1月CPIを受けて、市場の利下げ開始時期の予想は6月に先送りされ、年4回の利下げに修正された。FOMC議事録で利下げに慎重な姿勢が再確認された場合、相場の上値を抑制するだろう。ただ、CPIやPPIの結果を受けて、FRBの見解が大幅に修正されたとは思えず、昨年12月に示した予測通り年3回の利下げ軌道を維持している可能性が強く、過剰な反応は避けたい。
来週はまた、小売関連の決算に加えて、AI半導体市場をけん引してきたエヌビディアが四半期決算を発表する予定で、市場の基盤を判断する上で鍵を握るだろう。同社は、AI市場の急拡大で時価総額がオンライン小売のアマゾンを抜き、米国市場で第4位に浮上。もし、決算で期待通りに良好な業績や見通しが確認された場合、相場の上昇をけん引していく可能性もありそうだ。一方、同社の決算への市場の期待が高過ぎること、現行のペースでの業績拡大は持続不可能との見方も浮上しており、見通しを含め決算内容が期待に満たなかった場合、手仕舞い売りが加速し相場の重しとなるだろう。
なお、19日はプレジデント・デーの祭日で、休場となる。
経済指標では、1月景気先行指数(20日)、1月シカゴ連銀全米活動指数、新規失業保険申請件数、2月製造業・サービス業PMI速報、1月中古住宅販売(22日)、などが予定されている。また、FRBは21日に1月開催分のFOMC議事録を公表する。
主要企業決算では、ハイテクで半導体メーカーのエヌビディア(21日)、オンライン決済のブロック(22日)、小売ではホームセンター運営のホーム・デポやディスカウント小売りのウォルマート(20日)、レストランチェーン運営のジャック・イン・ザ・ボックス(21日)、家庭用品販売のウェイフェア(22日)、石油関連ではダイモンドバック・エナジー(20日)、マラソン・オイル(21日)、ドミニオン・エナジー(22日)、そのほか、高級住宅建設会社のトール・ブラザーズ(20日)、電気自動車メーカーのリビアン・オートモーティブやルシード・グループ(21日)、イベント会社のライブ・ネーション・エンターテーメント(22日)、オンライン旅行会社のブッキング・ホールディングス(22日)、バイオのモデルナ(22日)、メディアのワーナー・ブラザース・ディスカバリー(23日)、などが予定されている。
比較的景気減速時に柔軟性があるとされるウォルマートの決算では売上見通しに注目したい。イベント会社のライブ・ネーションでは、パンデミック後のイベント開催が活発化しており、好決算が期待できそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》