【杉村富生の短期相場観測】 ─バブル時のPERは60倍、PBRは5.6倍

市況
2024年2月18日 9時15分

「バブル時のPERは60倍、PBRは5.6倍」

●外国人はあと20兆~30兆円買う!

講演会などでは買い気の凄さに、「バブルじゃないですか」という質問をいただく。若い人が多い。筆者の答えはこうだ。「あなたは1980年代後半のことを知っていますか」。ほとんどの人が知らない。「生まれてなかった」とか、「小学生だった」という人がいる。そんな人達が「バブルだ、バブルだ」と騒いでいる。

これはちょっとおかしくないか。再三指摘しているように、いま演じられているのは「怒りの猛反騰劇」だ。「失われた30年」の克服を目指す日本再興戦略を評価する相場である。買いの主役は外国人(国際マネー)だ。もちろん、経営者の意識は変わった。個人はリスク資産にシフトしている。この大きな流れを見失ってはいけない、と思う。

日経平均株価は1989年12月29日の史上最高値3万8915円(終値ベース)奪回を目前にしている。これこそが「バブルじゃないか」。いや、それは違う。史上最高値時点のPERは60.9倍、PBRは5.6倍だった。現況のPERは16.1倍、PBRは1.45倍にすぎない。1株利益は当時の638円が現在は2376円である。

企業の稼ぐ力は格段に大きくなっている。外国人の買い越し額は昨年以降、約7兆円にとどまる。彼らの買い越し額は小泉構造改革時が38兆円、アベノミクス期待時が25兆円だった。今回は恐らく20兆~30兆円買うだろう。外国人の猛攻は始まったばかりである。景況感が改善し、製造業の国内回帰、半導体中心に新工場の建設ラッシュではないか。

新工場の建設は雇用と購買力を高める。熊本県菊陽町の台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>の敷地は21万平方メートル(東京ドーム4.5個分)だ。建設現場では協力会社のソニーグループ <6758> [東証P]、デンソー <6902> [東証P]の社員を含め、6000人が働いている。2期工事にはトヨタ自動車 <7203> [東証P]が参加する。

●コード番号末尾が「1」の銘柄に妙味!

菊陽町には別に東京エレクトロン <8035> [東証P]、ソニーグループ、日本ピラー工業 <6490> [東証P]、ローツェ <6323> [東証P] などが、芦北町ではテラプローブ <6627> [東証S]が生産拠点の整備を急いでいる。さらに、台湾企業をはじめ、日本の半導体部材、素材メーカーが相次いで進出する計画を明らかにしている。

こうした半導体生産の集積地が宮城県大衡村、北海道千歳市に誕生しつつある。まさに、フレンド・ショアリング(主要産業のサプライチェーンを西側陣営だけで完結させる壮大な構想)が始動している。経済は活性化する。ジャパンマテリアル <6055> [東証P]、レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]が潤うだろう。

日本企業は「失われた30年」の間に、時価総額的にはすっかり小さくなった。アメリカ市場の時価総額は7938兆円と、この30年間に20倍になったが、東京市場は5割増にとどまっている。「マグニフィセント・セブン(アメリカ市場の時価総額上位7社)」の時価総額」は1968兆円だ。東証プライム市場の2倍のスケールである。マイクロソフト<MSFT>、アップル<AAPL>の2社だけで883兆円だ。話題のマイクロソフト、エヌビディア<NVDA>、メタ・プラットフォームズ<META>の3社(MnMトリオ)の時価総額は911兆円だ。ちなみに、東証プライム市場(1655社)の時価総額は約920兆円にすぎない。悲しい話じゃないか。

筆者が唱える「怒りの猛反騰劇」とは基本的には“再生日本”を評価するとともに、出遅れ修正の動きである。コード番号末尾が1の「ゼロイチ銘柄」は歴史が古く含みが大きい。外国人の認知度は高い。AGC <5201> [東証P]、古河電気工業 <5801> [東証P]、三菱倉庫 <9301> [東証P]などがそうだ。PBRは1倍を割り込んでいる。

2024年2月16日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.