伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 2月25日版
日経平均は上昇が終息した後、6000円幅の調整へ入る公算
1. 日経平均の想定できる大勢の展開
日経平均株価は昨年10月以降、急激な上昇場面へ入り、終点の見えない状況となっています。今回はこの上昇がいつ終息するのか、終息後、本年がどのような展開になるのかについて見ていきます。
図1は、日経平均株価の月足です。
長くはっきりした上昇の流れができている場合、一定の基準を満たした5つの波のパターンを形成する傾向があります。そのため、はっきりとした上昇局面では、まず5つの波のパターンを形成する展開を想定し、基準になるシナリオを作り、シナリオからのずれを見て、その後の展開を組み立てていきます。
図1 日経平均株価(月足)、基準になる動き
現在の上昇局面は、2008年10月から始まっています。2008年10月以降で最も値幅の大きな下げは、2018年10月から2020年3月までの動きで、2020年3月以降、これと同程度の値幅、日柄の下げが表れていません。そのため、2020年3月の安値が2波目の終点として、それまでの上げ、下げを1波、2波とカウントします。
2波目の終点となる2020年3月の安値1万6358円をつけた後は、3波目の上昇場面へ入っています。3波目の上げは、さらに小さな①~⑤波に分かれているという見方になります。
2020年3月以降の上昇局面で最も値幅の大きな調整は、2021年9月~2022年3月までの下げになります。これと同程度の値幅、日柄の下げが表れていません。
2022年3月の安値2万4681円が②波目の終点となって、その後の上昇は、③波目の上げ局面がさらに小さな(1)~(5)波に分かれているという見方になります。
2022年3月以降の上昇は、上昇の初期のジグザグと、昨年6月~10月の下げが同程度の値幅の動きとなっているので、2023年10月以降、3波の中の③波が(5)波目の最終段階の上げ場面へ入っていると推測できます。
5つの波のパターンを基準として推測すると、現在の上昇が終了した後、2021年9月~2022年3月までの下げ幅(6114円幅)と同程度の値幅の④波の下げ局面へ入るという見方ができます。
現在の上昇が大天井をつける最後の吹き上げであっても、大勢の上昇の途中であっても、少なくとも6114円幅以上の下げを経過すると考えられます。