「もしトラ」なら防衛関連と銀行株が恩恵を受ける?
最新の世論調査によると、トランプ前大統領が11月にホワイトハウスを奪還する可能性が現実味を帯びてきている。バイデン大統領との再戦でトランプ氏が勝利した場合、米株式市場のどのセクターがアウトパフォームするか注目されるところではある。
◆米国株は海外をアウトパフォーム
まずは、米国株自体がどうかという点だが、トランプ政権が復活すれば、米国株は海外と比較してアウトパフォームする可能性が高い。トランプ大統領は再選されれば、通商政策をさらに強化する意向を表明している。米国に入るすべての中国製品に60%の関税をかけるとも脅している状況。このような政策は貿易の緊張を高め、中国株や新興国市場にとってはマイナスになるのは明らか。一方、先進国の株式もまた、米国株に遅れをとる可能性が高い。トランプ大統領は米貿易赤字解消を最優先政策とし、そのためにすべての輸入品に10%の関税をかけると脅している。
米国株が他国の株式をアウトパフォームするとして、どのセクターが有望なのだろうか。
◆防衛関連株は成長の可能性が高い
トランプ大統領は1期目に国防部門に好意的で、主要軍事関連企業の株価もそれに応え、S&P500を上回る40%以上の上昇を見せていた。投資家は、トランプ氏が再びウェスト・ウィングに帰り咲けば、このダイナミズムが繰り返されることを期待できるという。イスラエルで戦争が勃発し、ウクライナで紛争が続いているにもかかわらず、米航空宇宙・防衛関連は過去1年間、S&P500をアンダーパフォームした。
◆銀行株も恩恵を受ける可能性
トランプ政権がシステム上重要な金融機関として認定される基準値の引き上げを含む、ドッド・フランク法の規制緩和を行ったにもかかわらず、トランプ第1期中の銀行株は低迷していた。もし、2期目に当選した場合、トランプ氏はバーゼルIIIの資本要件引き上げを拒否すると述べている。そうなれば、銀行は融資残高に対する資本準備金の保有を減らすことができ、利益を増やすことができるという。
同時にトランプ氏は、2年後に任期満了を迎えるパウエルFRB議長を交代させる可能性が高い。そうなれば、FRBはよりハト派的な金融政策を取る可能性があり、長期的には金利に低下圧力がかかる。これは少なくとも理論的には、銀行融資の需要を押し上げるはずだとしている。これらのことから、トランプ2期目なら、銀行株は強気となるという。
◆エネルギー株は?
トランプ氏は米石油・ガス生産を押し上げる政策をとる可能性が高い。ただ、残念ながらトランプ氏の1期目の石油・ガスセクターのパフォーマンスからも明らかなように、生産量の増加が必ずしもエネルギーセクターの株価上昇に繋がるとは限らないという。従ってエネルギー株については未知数。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美