買いの好機は月2回、NISAでも使える個別株投資の技
すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 なつみ そらさんの場合-最終回
スカパーJ<9412> |
日経平均株価などの株価指数や外国為替を対象とするCFD(差金決済取引)のほか、日本株の個別銘柄を手掛ける専業トレーダー。有名難関私立高校から大学進学の後、塾講師のアルバイトの延長で始めた講師業が波に乗り、大学を中退しビジネスに専念する。その後、仲間の誘いにのって始めたのをきっかけに、投資の世界にのめり込み、現在に至る。
当初はFXでイタい損を食らうも、その失敗や病の苦境をバネに価格の節目を見ながらトレードする自己流ロジックを見出す。以降はほぼ負けなしで、現在は億トレとして資産拡大中だ。「株探アンケート~24年の日本株戦略」の回答者で、投資スタイルは「テクニカル・需給重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。
第1回記事「日経平均は4万6000円台へ、ほぼ負け知らずの億り人が見るワケ」を読む
第2回記事「おや、どうして? 口座残高での異変察知から発見した勝ち技」を読む
なつみ そらさん(ハンドルネーム、以下、そらさん)は、個別株投資でも、仲間と構築した「値動きの原則」を使いこなす。通常の証券口座に限らず、今年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)で、個別株も運用できる成長投資枠でも利用しているという。
この個別株戦略の特徴は、月に2度、決まった時期に有望株を見つけて仕込み、約1~2週間のうちに収穫をする「二毛作」スタイルを取ることだ。トレードの手法がパターン化され、ひとたびコツを掴めば実践しやすいやり方だ。
いつ買っていつ売り、銘柄選びはどうするのか。最終回は、その投資法を見ていく。
個別株投資では、月に2回リターンを狙う二毛作作戦
今年(2024年)1月31日、そらさんは、衛星放送を提供するスカパーJSATホールディングス<9412>に買いを入れた。その後の株価は上昇、2月7日に利益確定し、6日保有で65円、約8%の上昇分をさらった。
■スカパーJの日足チャート(2023年12月28日~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
個別株を狙ったこのやり方は、そらさんが主力とする日経平均株価や為替を対象とする短期売買とは別の位置づけとなるサブ戦略だ。
この個別株戦略では、短期売買でも役立てる「価格の節目」を意識するのに加え、イベントに着目した「時間の節目」も意識する。
その節目(イベント)は「SQ算出日(先物・オプション取引の決済日)」そして、「月末の権利落ち日」の2つだ。そらさんは、この節目と節目を挟んだ数日から2週間で勝負する。
具体的には、
前半戦→ SQ算出日(第2金曜日)以降の数日内に買い、月末の権利落ち日前に手仕舞い
後半戦→ 月末権利落ち日以降の数日内に買い、SQ算出日前に手仕舞い
―― と定め、このサイクルを回していくのが、毎月のルーティンだ。
■毎月の個別株二毛作の買いと売りの時
前半戦 | 後半戦 | |
買い | SQ日の翌日~数日内 | 月末権利落ち翌日~数日内 |
売り | 月末権利落ち日前 | SQ算出日の前 |
SQ算出日と権利落ちを境に地合いが変わる
SQ算出日、および月末権利落ち日を節目と見なすのは、このタイミングで利益確定や、リバランス(資産配分の調整)をする投資家が多いと考えるからだ。
このイベントを境に、これまで調子よく株価が上がっていた銘柄が下げに転じるなど、地合いが変わる可能性がある。このリスクを避け、確実に取れる分だけ取っていこうというのが一番の目的だ。
一方で、上昇トレンドにある好調銘柄のうち、これらのイベントを大過なく乗り越えたものであれば、引き続き好調を維持できるとも考えている。この上昇モメンタムを狙うのが、個別株取引の基本方針だ。ただし、全体相場も長期で上昇トレンドにあることが大前提となる。
スカパーJの場合、2月7日に手仕舞ったのは、SQ算出日の9日が迫っていたことに加え、この日の大引け後に同社の第3四半期決算発表が控えていたことがある。
結果的には、同社株は決算内容が好感されて、翌8日にさらなる上昇に向かったが、この分の取りこぼしは潔くあきらめる。場合によっては材料出尽くしで大きく下落することもあるため、不確実の領域には入らないのがそらさんのやり方だ。
利確の後、上昇トレンドがなおも続くと思えば、次のSQ算出日ないしは権利落ちの節目の通過後に、再びエントリーすればよいという考えだ。
では、狙う銘柄はどう選び、どうトレードしていくのか。
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