来週の相場で注目すべき3つのポイント:春闘集中回答日、米CPI、米PPI
■株式相場見通し
予想レンジ:上限39500円-下限38500円
今週末8日の米国市場は反落。ダウ平均は前日比68.66ドル安(-0.18%)の38722.69ドル、ナスダックは188.26ポイント安(-1.16%)の16085.11、S&P500は33.67ポイント安(-0.65%)の5123.69で取引を終了した。そして、大証ナイト終値は通常取引終値比720円安の38790円と急落した。米2月雇用統計が労働市場のひっ迫緩和を示し米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が一段と強まったことで、ドル・円は一時146円49銭まで円高ドル安が加速した。週明け東京市場は売り優勢の展開でスタートする公算が大きい。
調整局面は出遅れていた投資家の買い場となりそうだが、為替の円高推移は懸念材料である。2月13日以降、ドルは150円前後で上下2円弱の狭いレンジでのこう着相場が続いていたが、3月の日銀金融政策決定会合にて金融政策の正常化に踏み出すのではないか、との思惑が高まったことや、パウエルFRB議長が議会証言にてややハト派的な発言を行ったこと、スーパーチューズデーの結果を受けて、トランプ前大統領が米大統領に返り咲く可能性が高まっていることなどが円買いドル売り材料となっている。
米商品先物取引委員会(CFTC)が8日に発表した建玉明細報告では、5日時点のシカゴ・円における大口投資家(投機筋)のポジションは11万8843枚の売り越しと前回の13万2705枚の売り越しから大幅に減少。投機筋の売り越しポジションは3週ぶりに12万枚以下となった。6日以降、円高ドル安が進んだことから、投機筋の円売りポジションはより減少したと推測。投機筋の円売りポジション解消がいったん止まれば、足元の円高ドル安加速は一巡しそうだが、自動車株など輸出関連銘柄は神経質な展開を迎えそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。3月13日に自動車・電機大手の賃上げ集中回答が予定されており、賃上げが市場予想を上回る水準だった場合、日本銀行は賃金上昇を伴う2%の物価目標の実現に自信を深めて大規模緩和の修正に乗り出す可能性がある。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースは市場の想定より緩慢とみられ、リスク選好的なドル買い要因となり得る。先月発表された1月米コアPCE価格指数は前年比+2.8%と市場予想と一致し、3月12日に発表される2月米消費者物価コア指数(CPI)は前年比+3.7%と予想されており、3%を上回る高インフレの状態はしばらく続く見込み。パウエルFRB議長は3月6-7日の議会証言で、金融政策について中立的な見解を示したため、主要通貨に対するドル売りが観測されたが、市場参加者の間では年内数回の利下げが以前から想定されており、米国経済の軟着陸への期待は持続していることから、リスク回避的なドル売り・円買いはやや縮小する可能性は残されている。
■来週の注目スケジュール
3月11日(月):GDP改定値(10-12月)、米・2025会計年度(24年10月-25年9月)予算教書公表、中・全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が閉幕、など
3月12日(火):景況判断BSI(1-3月)、国内企業物価指数(2月)、独・CPI(2月)、米・消費者物価指数(CPI)(2月)、米・大統領選の民主・共和両党予備選(ジョージア州、ミシシッピ州、ワシントン州など)、共和党ハワイ州党員集会、米・10年債入札、など
3月13日(水):春闘集中回答日、英・商品貿易収支(1月)、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(1月)、米・30年債入札、など
3月14日(木):米・小売売上高(2月)、米・生産者物価指数(PPI)(2月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、など
3月15日(金):春闘第1回回答集計結果公表、中・新築住宅価格(2月)、中・中古住宅価格(2月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(3月)、米・設備稼働率(2月)、米・鉱工業生産指数(2月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(3月)、露・大統領選挙(17日まで)、など
《CN》