為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、日銀の緩和縮小予想も米利下げ期待後退
【今週の概況】
■米国の早期利下げ観測後退でドル売り縮小
今週のドル・円は堅調推移。3月12日発表の2月米消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る伸びとなったため、米国の利下げ開始が遅れるとの見方が広がり、ドル買い・円売りが優勢となった。日本銀行の植田総裁は3月13日の参院予算委員会でマイナス金利解除について、「現在本格化している春季労使交渉の動向は大きなポイント」と発言したことを受けてドル買い・円売りは一服したが、14日発表の2月米生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことや新規失業保険申請件数の減少を受けて準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測は後退し、ドル買いが再び強まった。
15日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時149円17銭まで上昇した。2%のインフレ目標達成には想定以上に時間がかかるとの見方が浮上し、年内の利下げは2回にとどまる可能性があることから、長期金利は底堅く推移し、ドル買い・円売りが優勢となった。一部メディアが「日本銀行はマイナス金利政策を解除しても、緩和的な金融環境を維持し、ゼロ金利政策に移行することを想定している」と報じたこともドル買い材料となった。ドル・円は149円07銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:146円49銭-149円17銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、日銀の緩和縮小予想も米利下げ期待後退
来週のドル・円は底堅い値動きか。日本の春闘での賃金上昇を背景に、日本銀行は3月18-19日開催の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を含めた大規模緩和政策の修正について議論する見通し。ただ、日銀は賃金上昇を伴う2%の物価目標を達成しても、金融正常化の推進には慎重とみられる。植田日銀総裁はマイナス金利解除後も緩和的な環境を維持する考えを示している。また、最新の米消費者物価指数(CPI)と米生産者物価指数(PPI)でインフレ再加速が示され米連邦準備制度理事会(FRB)は早急な金融緩和に慎重であるため、ドルは売りづらい。FRBによる利下げは年2回にとどまる展開も想定され、米金利高・ドル高の相場展開となる可能性がある。
【日本銀行金融政策決定会合】(18-19日開催予定)
日銀は今月18-19日に金融政策決定会合を開催し、現行の大規模緩和政策を維持する公算。市場はマイナス金利解除を想定しており、想定内の政策決定なら失望の円売りに振れやすい。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(19-20日開催予定)
FRBは19-20日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利の据え置きを決定する見込み。現行の金融政策は当面維持される可能性がある。
予想レンジ:147円80銭-150円50銭
《FA》