来週の相場で注目すべき3つのポイント:日銀金融政策決定会合、米FOMC、訪日外客数

市況
2024年3月16日 19時05分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限38800円-下限37800円

日経平均は25日移動平均線水準を挟んでのもみ合いとなっており、短期的な過熱感はだいぶ和らいだと言えよう。ただ、200日移動平均線との上方乖離率はまだ15%ほどあることから、一部市場関係者からは「3月末にかけての年金のリバランスなども考慮して調整局面はまだ続く」との声も聞かれる。チャート上では、5日移動平均線が25日移動平均線を下回った。25日移動平均線が上向きのため、そこまでネガティブな売りサインというわけではないが、1月から続いていた一本調子の上昇はいったん終了と見る。75日移動平均線や200日移動平均線は右肩上がりで推移していることから中期的な上昇トレンドは崩れていないが、東証プライム市場の売買代金も減少していることから、短期的には3月末近くまで上値の重い展開が続くと考えておきたい。

15日の米国市場は続落。ダウ平均は前日比190.89ドル安(-0.49%)の38714.77ドル、ナスダックは155.35ポイント安(-0.96%)の15973.18、S&P500は33.39ポイント安(-0.65%)の5117.09で取引を終了した。大証ナイト終値は通常取引終値比270円高の38660円。米国株は弱いが、円安などを材料に週明けの東京市場は買い優勢で取引を開始すると想定する。

18-19日に開催される日本銀行の金融政策決定会合では「マイナス金利の解除を議論する」と見られていたが、2024年の春闘では賃上げ率が平均5.25%と23年の3.58%を大幅に上回り、33年ぶりの高い水準となったことを受けて、一部報道で「マイナス金利の解除を実施する見通し」と報じられた。東京時間15日夜に速報で報じられたことから、15日の米国株式市場の結果は、このニュースを織り込んでいるとみられる。本来であれば、「マイナス金利の解除」という大規模緩和の象徴的な金融緩和方針の転換、つまり金融引き締めに動くことは、株安、そして、日米金利差が縮小する話につながることなので円高ドル安要因となりそうだ。しかし、為替は1ドル=149円台の円安推移となり、大証ナイトが上昇したという反応をみる限り、「日銀の本気度の現れ」「デフレ脱却」と海外市場では捉えられたのだろう。

また、日銀は、「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール(YCC))の撤廃」「上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)などリスク資産の買い入れ終了」も終了する見通しと伝わっている。YCCやリスク資産買い入れは実質終了しているようなものなので、市場へのネガティブな影響は無いと考える。昨年末以降、日銀は「金融政策の正常化」の地ならしを行い市場との対話を重ねてきた。19日の結果発表及び植田和男日銀総裁の記者会見は、市場にネガティブなインパクトを与えることなく「金融政策の正常化」に踏み出せるか注目だ。

■為替市場見通し

来週のドル・円は底堅い値動きか。日本の春闘での賃金上昇を背景に、日本銀行は3月18-19日開催の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を含めた大規模緩和政策の修正について議論する見通し。ただ、日銀は賃金上昇を伴う2%の物価目標を達成しても、金融正常化の推進には慎重とみられる。植田日銀総裁はマイナス金利解除後も緩和的な環境を維持する考えを示している。また、最新の米消費者物価指数(CPI)と米生産者物価指数(PPI)でインフレ再加速が示され、米連邦準備制度理事会(FRB)は早急な金融緩和に慎重であるため、ドルは売りづらい。FRBによる利下げは年2回にとどまる展開も想定され、米金利高・ドル高の相場展開となる可能性がある。

■来週の注目スケジュール

3月18日(月):コア機械受注(1月)、日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目)、中・鉱工業生産指数(2月)、中・小売売上高(2月)、欧・ユーロ圏CPI(2月)、米・エネルギー国際会議「CERAウィーク」(22日まで)など

3月19日(火):日銀政策委員会・金融政策決定会合(2日目)、終了後決定内容発表・植田日銀総裁が会見、訪日外客数(2月)、豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、独・ZEW期待指数(3月)、米・住宅着工件数(2月)、米・住宅建設許可件数(2月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)(20日まで)、米・大統領選予備選(アリゾナ、フロリダ、イリノイ、カンザス、オハイオ州)など

3月20日(水):国内株式市場は祝日のため休場(春分の日)、中・1年物/5年物ローンプライムレート(LPR)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(3月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利発表、FOMC終了後パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見、EUウクライナ会合、欧・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が講演、など

3月21日(木):貿易収支(2月)、トライアルホールディングスが東証グロースに新規上場、NZ・GDP速報(10-12月)、欧独英米・製造業/サービス業/総合PMI(3月)、スイス・中央銀行が政策金利発表、英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表、トルコ・中央銀行が政策金利発表、など

3月22日(金):消費者物価コア指数(2月)、英・小売売上高指数(2月)、独・IFO企業景況感指数(3月)、米・アトランタ連銀総裁が対談に参加、など

《CN》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.