為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、日米金利差維持予想がドル売り抑制も
【今週の概況】
■日米金利差維持の思惑で円売り強まる
今週のドル・円は堅調推移。日本銀行3月18-19日開催の金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除や政策金利の引き上げなどを含む大規模緩和策の縮小を決めたが、緩和的な金融環境は当面維持される見通しであることから、リスク選好的なドル買い・円売りが活発となった。スイス中央銀行は21日に予想外の利下げを発表したこと、欧州中央銀行(ECB)や英中央銀行は今年半ばまでに利下げを開始するとの観測が広がり、ユーロ、ポンド、スイスフランに対するドル買いが優勢となったこともドル高・円安進行の一因となったようだ。22日の東京市場では昨年11月以来となる151円86銭までドル高円安に振れる場面があった。
22日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時151円01銭まで下落した。2024年度の日本の賃金上昇率は前年度実績を上回る見通しとなり、日本銀行による追加利上げ観測が浮上したことから、リスク回避的なドル売り・円買いが一時活発となった。ただ、対欧州通貨絡みのドル買いが続いたことでドル売り・円買いは一服。151円38銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:148円91銭-151円86銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、日米金利差維持予想がドル売り抑制も
来週のドル・円は底堅い値動きとなりそうだ。日本銀行は3月18-19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除など含めた大規模緩和の修正に踏み切ったが、緩和的な金融環境を当面維持する方針であり、金融正常化を加速させることには慎重とみられる。米FRBは19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定。金融当局者による金利見通しでは、利下げに関し前回の昨年12月から変わらず、年内3回の可能性が示された。
市場参加者の間ではFOMCの政策金利見通しなどはハト派寄りと受け止められているが、インフレ緩和のペースは加速していないため、米金融当局は利下げを急ぐ必要はないと判断しているとみられる。そのため、投資家のドル選好はしばらく続くだろう。もっとも、ドル・円は151円台後半まで上昇し、日本政府による為替介入に対する警戒が高まるため、新たなドル買い材料が提供されない場合、リスク選好的なドル買い・円売りが一段と拡大する可能性は低いとみる。
【日・3月東京都区部消費者物価コア指数(CPI)】(3月29日発表予定)
29日発表の3月東京都区部消費者物価指数(CPI)は、2月実績の前年比+2.5%を維持できるか注目。インフレ率が前回実績を下回った場合は日銀の金融正常化を後押しできず、円売り要因になろう。
【米・2月コアPCE価格指数】(3月29日発表予定)
29日発表の米2月コアPCE価格指数は前年比+2.80%程度と予想されている。市場予想を下回った場合、ドル売りの手がかりになりやすい。
予想レンジ:149円00銭-154円00銭
《FA》