明日の株式相場に向けて=4月の外国人買いアノマリーに期待

市況
2024年3月26日 17時00分

きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比16円安の4万398円と小幅ながら続落。前日に先物主導で470円あまりの下げを強いられたこともあり、きょうは目先値ごろ感からの押し目買いが機能して下値を支えた。しかし上値を買い進む動きには発展せず、結局引け際の大口売りで前日終値を下回る水準で着地した。

今週は米国でFRB高官の発言機会が相次ぐものの、前週にFOMCを通過していることで、仮にタカ派寄りの発言があっても証文の出し遅れ的な意味合いが強い。このほかに投資家の視線が注がれるような大きなイベントは見当たらず、手掛かり材料に事欠く状況だ。期末特有の機械的なリバランス売りなどの影響を考慮すると積極的に相場と対峙するようなムードにはなりづらい。確かに配当や株主優待などの権利取り狙いの買いが、全体相場に浮揚力を与えるという見方はあるが、あくまで一般論の範疇で、個人投資家が個別株を投資するにあたってあまり追い風材料として作用することはない。市場関係者からは「(あすに権利付き最終日を控えていることで)権利落ち後の配当調整分の下げ圧力が気になって、トレーダー感覚では目先手が出しにくい時間軸にある」(中堅証券ストラテジスト)という見方が示されていた。

加えて、今週末29日はグッドフライデーで米国株市場はもとより、欧州各国やアジアでも香港、シンガポール、インドネシアなど軒並み休場となる。海外機関投資家も週半ばには早めに“店じまい”して名実ともに4月に入ってから仕切り直すというスタンスをとるのが自然な流れだ。そうした事情が東京市場の足もとの売買代金にも反映されている。前日にプライム市場の売買代金は4兆3400億円台と今月に入って2番目に低い水準に落ち込んだが、きょうもそれとほぼ並びの4兆3500億円台にとどまった。

一方、前週後半からのIPOラッシュで東証グロース市場に目が向く可能性はあったが、フタを開けてみれば活性化には程遠く前週末からグロース指数、グロース250指数ともに冴えない値動きで売買高も盛り上がりを欠いている。きょうは4社がグロース市場に新規上場したが、初値は公開価格を大きく上回ったものの大陰線を形成する銘柄のオンパレード、セカンダリーで参戦した投資家にとっては残念な結果となった。

ただし、きょう上場した4社のなかでハッチ・ワーク<148A>だけは別格だった。公開価格を30%上回る2815円で初値を形成した後も上値を指向する展開で、ストップ高となる3315円で張り付いたまま取引を終えている。月極駐車場の検索ポータルサイトや管理支援クラウドサービスなどを運営するユニークな業態。資金調達額が7億5300万円と比較的小さく、これが上値の軽さにつながったようだ。もっとも、資金調達額4億4500万円と更に小型のJSH<150A>は公開価格の倍近い893円で初値を形成した後、1008円まで駆け上がったところまではよかったが、後半は次第安の展開で初値を約1割下回って引けている。IPO祭りも資金の回転の速さがひと際目立つ。足もと全体相場の手詰まり感と符合する形で“焦り”が感じられる。

海外投資家は3月第2週に現物で800億円強、先物で5700億円強売り越しており、このまま行くと月間売り越しとなる公算は大きい。しかし、過去10年間を振り返って3月の外国人動向は2勝8敗、つまり8回売り越しておりアノマリー的には全く違和感はない。その代わりといっては何だが、新年度入りとなる4月は海外資金が流入する月でもあり、過去10年で9回買い越している。とすれば、この3月権利落ち後に全体相場がずるずると下値を探るような局面に遭遇した場合、ムードに流されず値がさハイテクなど指数寄与度の高い銘柄を黙って拾っておくというスタンスが勝利を呼ぶ可能性もある。

あすは3月決算期企業の権利付き最終売買日。このほかのイベントとしては、午前中に40年物国債の入札が行われるほか、田村日銀審議委員が青森県金融経済懇談会に参加予定。また、IPOが3社予定されており、東証グロース市場にダイブ<151A>とシンカ<149A>、東証スタンダード市場にコロンビア・ワークス<146A>が新規上場する。海外では1~2月の中国工業企業利益、2月の豪消費者物価指数(CPI)が発表され、スウェーデン中銀、南アフリカ中銀などが政策金利を発表する。米国では7年物国債の入札が行われ、ウォラーFRB理事が米経済団体のイベントで講演を行う予定にある。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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