明日の株式相場に向けて=“ラピダス経済効果”で出世株輩出へ

市況
2024年4月3日 17時00分

きょう(3日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比387円安の3万9451円と反落。足もとで全体相場の流れが悪くなっており、日経平均は朝方に想定外の崩れ足で600円以上の下落を示しヒヤリとさせられる場面もあった。

3月19日に4万円大台に回帰し、4万円台固めから上値追い再開かと思われた矢先にあえなく滑り落ち、きょうはあっという間に3万9200円近辺まで水準を切り下げる展開。どんな強気相場であっても“好事魔多し”という言葉が当てはまることを痛感させられるが、3月中旬の小波乱と同じく、25日移動平均線を小幅に下回ったところで踏みとどまることができれば、今回もご多分に漏れず絶好の押し目買い場提供となり得る。きょうは、日経平均が大きく下げるなかも、値上がり銘柄数が800を超え値下がりを上回った。これは株価指数先物と絡まない次元で個別株に対する純粋な物色意欲を反映している。

ただし、足もとで新たな警戒材料が発現していることには注意が必要となる。市場関係者によると「2つの悪材料が立て続けに出た。一つはイスラエルによるイラン大使館への空爆。両国の対立先鋭化は避けられず、ともすると『イラン・ロシアVSイスラエル・米国』という政治的な色合いが強まるなか、地政学リスクによる原油価格の一段の高騰が懸念される。そして、もう一つは今朝方に発生した台湾付近を震源とする地震で、TSMC<TSM>の半導体工場がストップしていること。半導体のサプライチェーン・リスクが再び警戒される場面にある」(ネット証券アナリスト)という。原油価格の高騰と半導体供給トラブルに伴う製品価格上昇圧力は、いずれも世界的なインフレモード再燃へとつながっていく。米国の6月利下げ観測の後ずれはもとより、年内3回どころか利下げ自体が難しいというようなコンセンサスが生まれれば、これは株高シナリオの変更につながりかねない。

そうしたなか、きょうの東京市場では電力株が軒並み高に買われ目を引いた。前日取り上げた北海道電力<9509>は前引け時点でプライム市場の値上がり率トップとなる大立ち回りをみせたが、東京電力ホールディングス<9501>も柏崎刈羽原発の再稼働思惑を背景に、売買代金で上位に食い込む活況を呈し、上値追い態勢を維持した。このまま行くと原油高に加え円安による輸入コストの上昇で、電力料金の上昇圧力も拭えなくなる。概念的にデフレ脱却は望むところだが、現実問題としてコストプッシュ型インフレは解散総選挙を念頭に置く岸田政権にとって是が非でも回避したいのが本音のはず。したがって、供給不足をクリアする原発稼働への道筋は、政権維持の上でも必要条件となっている。特に、次世代半導体量産を担うラピダスの千歳工場の稼働で生じる膨大な電力需要は、泊原発の稼働が必須となる。その意味で北海電の株価刺激材料には事欠かない。

PERなどを考慮すると北海電の上値の伸びしろが4ケタ大台ラインの手前で消滅することはなさそうだ。だが、ラピダス関連の切り口で商機をつかむ銘柄は電力株や半導体関連にとどまるものではない。例えば、北海道が拠点の建機レンタル大手カナモト<9678>はマークしておく価値がありそうだ。同類項として北海道を地盤とする建設資材商社であるクワザワホールディングス<8104>が既に人気化しており、これに追随できるか注目となる。カナモトは24年10月期営業18%増益予想で75円配当は配当利回りにして2.8%台。しかも、PBR0.7倍前後で一段の株主還元強化も期待できる。

また、熊本同様に“半導体城下町”効果による経済活性化で活躍機会が増すのが地銀である。低PBR株の宝庫で再編思惑など株価の思惑材料にも富むセクターだが、そのなか北海道を地盤に第2地銀で最大規模の資金量を誇る北洋銀行<8524>は買い安心感がある。株価も400円台と値ごろ感があり、しかもPBRは0.4倍に過ぎない。

あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、午前取引時間中に3月の輸入車販売と3月の車名別新車販売、3月の軽自動車販売が発表される。また、4月の日銀地域経済報告(さくらリポート)にも注目が集まる。このほか、午前中に30年物国債の入札が予定されている。この日はIPOが1社予定されており、東証スタンダード市場にアズパートナーズ<160A>が新規上場する。海外では、2月の米貿易収支、週間の新規失業保険申請件数などにマーケットの関心が高い。なお、香港、台湾、中国市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2024年04月03日 17時03分

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