米国株式市場見通し:3月CPIで米金利上昇となれば米国株の重しに
来週は、インフレ長期化を市場が徐々に織り込みつつあるなか、4.4%台の米10年債利回りが一段高となるか見極める展開となろう。来週10日に発表される3月の米消費者物価指数(CPI)の結果次第では、インフレ長期化観測が強まり、年内利下げ見送りの流れが強まる可能性はある。現時点での食品・エネルギー除くコアの市場予想は、前月比+0.3%と2月の同+0.4%より鈍化する見通し。コア前年比は+3.7%とこちらも前回(同+3.8%)を下回っているが、食品・エネルギーを含めた前年比は+3.5%と前回(同+3.2%)を大きく上回っている。足元のエネルギー価格上昇の影響が顕在化するのは4月以降のCPIと考えるが、3月CPIが市場予想を上回る内容となった場合、「インフレ長期化懸念→10年債利回り4.5%台に上昇→ナスダック中心に株安」といった流れが想定される。そして、日米金利差拡大に伴い、ドル高円安が加速するだろう。極端なドル高円安が進むと、日本当局による円買い介入が入る可能性があるため、為替市場、株式市場、債券市場いずれも乱高下が見込まれる。程よいCPIの結果を期待したいところだが、市場の波乱要因となる可能性は十分ある。
なお、今週の米国株下落の要因でもあった中東情勢の緊迫化だが、いったん高まった緊張感がより高まるには、米国とイスラエルの協力関係が破綻し、イランも参戦し地上戦が激化する可能性が高まるなどのインパクトが必要と考える。つまりこれ以上の緊張感は高まりにくくなったため、中東情勢を警戒した売りは限定的になると想定する。
経済指標では、10日に3月CPI、2月卸売在庫(確報値)、週次原油在庫、3月連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、11日に週次新規失業保険申請件数、3月生産者物価指数、12日に4月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。
主要企業決算では、10日にデルタ航空、12日にブラックロック、JPモルガンチェース、ステート・ストリート、ウェルズ・ファーゴ、シティグループなど大手金融機関の決算発表が予定されている。足元沈静化しているが、商業用不動産向け融資債権に関する損失の話が蒸し返されると、株式市場全体の重しとなるため、念のため警戒しておきたい。
《FA》