為替週間見通し:底堅い値動きか、日本の為替介入警戒もドルは上値を試す展開
【今週の概況】
■米インフレ高止まりで34年ぶりのドル高円安
今週のドル・円は堅調。1990年以来、34年ぶりとなる153円39銭までドル高円安が進行した。4月10日発表の3月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.5%と、インフレ率は2月実績を上回り、インフレ持続によって米国の利下げ開始時期は7月以降になるとの見方が広がったことが要因。日本政府による為替介入が警戒されたものの、1ドル=152円を超えた後も円安是正のための為替介入は実施されていないこともドル買い・円売りを促す一因となった。中東情勢の緊迫化を警戒したリスク回避的な円買いが観測されたが、ドル高円安の流れが変わることはなかった。12日の東京市場でドル・円は一時153円39銭まで買われた。
12日のニューヨーク外為市場でドル・円は152円60銭まで下落後、153円33銭まで反発した。イスラエルがイランからの報復攻撃を警戒しているとの報道を受けて、一時リスク回避の円買いが優勢となったが、この日発表された4月ミシガン大学消費者信頼感指数の期待インフレ率は上昇したこと、複数の米地区連銀総裁が早期利下げに慎重な姿勢を示したことから、リスク選好的なドル買いが再燃。ドル・円は153円26銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:151円57銭-153円39銭。
【来週の見通し】
■底堅い値動きか、日本の為替介入警戒もドルは上値を試す展開
来週のドル・円は底堅い値動きか。米インフレ持続を受け、米国の早期利下げ観測は後退し、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。日本の為替介入が警戒されるものの、目先的にドルは上値を試す展開となりそうだ。直近発表の米3月消費者物価指数(CPI)はコア指数も含め予想を上回り、年内3回の利下げ観測は大幅に後退した。米連邦準備制度理事会(FRB)はタカ派的な政策スタンスを強め、対照的に欧州中央銀行(ECB)など他の主要中央銀行は早期利下げに傾いている。そうした政策方針の違いから、ドル選好地合いが続く見通し。
ドル・円は重要な抵抗線とみられていた152円を明確に上抜け、短期的には155円を試す可能性がある。来週発表の小売売上高やフィラデルフィア連銀製造業景気指数が市場予想を上回った場合、緩やかなドル高が見込まれる。
一方、日本政府は円安けん制を繰り返し、ドル高の進行を抑制したい意向のようだ。日本銀行は今月開催の金融政策決定会合でインフレ見通しの上方修正を示唆し、円安を弱めたい意向だ。ただ、日本銀行が現行の金融緩和方針を維持するとの見方が浮上した場合はドル売り・円買いは抑制される可能性がある。
【米・3月小売売上高】(15日発表予定)
4月15日発表の米3月小売売上高は前月比+0.4%と、2月実績の+0.6%との比較で伸びは鈍化する見通し。市場予想を下回った場合、長期金利は低下し、ドル売りにつながる可能性がある。
【米・4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数)】(18日発表予定)
18日発表の4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は3カ月ぶりのマイナスが予想されている。製造業の景況感悪化で、景気減速懸念なら金利安・ドル安要因に。
予想レンジ:152円00銭-155円00銭
《FA》